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Channel: 裏旋の超絶☆塩レビュー
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【ネタバレ注意】映画『インビジブル・ゲスト』の感想。

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「完全なる密室。

顔のない来訪者。

3時間以内に真犯人を探し出せ―――」

 

「あなたはきっと、別のラストを予想する。」

 

 

『インビジブル・ゲスト -悪魔の証明-』

[Contratiempo]

(2016年)スペイン映画

 

 

<あらすじ>

実業家のアドリアン・ドリア(マリオ・カサス)は、不倫相手ローラ・ビダル(バルバラ・レニー)の殺害容疑で起訴されていた。そんな中、凄腕弁護人のグッドマン(アナ・ワヘネル)がドリアを訪ねてくる。彼らは3時間後に開始される裁判までに反証の準備をしなければならず、事件の再検証を進めていく。ドリアはローラとの密会中に、事故でダニエル・ガリード(イニィゴ・ガステシ)という青年を死なせてしまっていた。死体を湖に沈めて隠蔽を図ったものの、ダニエルの父親トマス・ガリード(ホセ・コロナド)はドリアを疑ってつきまとうようになる。その後、ドリアとローラは山奥のホテルに誘い出され、ドリアが気絶させられている間に密室でローラが殺害されたのだった。圧倒的に不利な状況にも関わらず、グッドマンはドリアを無罪にできると言うが……。

 

<スタッフ>

監督・脚本 オリオル・パウロ

製作 エネコ・リザラガ・アラテイベル

    メルセデス・ガメロ

    ミケル・レハルサ

撮影 ジャビ・ヒメネス

音楽 フェルナンド・ベラスケス 

 

<キャスト>

マリオ・カサス(アドリアン・ドリア)

アナ・ワヘネル(バージニア・グッドマン)

バルバラ・レニー(ローラ・ビダル)

ホセ・コロナド(トマス・ガリード)

イニィゴ・ガステシ(ダニエル・ガリード)

フランセスク・オレーリャ(フェリックス・レイバ)

パコ・トウス(運転手)

ダビ・セルバス(ブルーノ)

マネル・ドゥエソ(ミラン刑事)

サン・ジェラモス(ソニア)

フランカ・マルティネス(?)

 

 

本作は

2012年に『ロスト・ボディ』で長編デビューした

オリオル・パウロ監督の2作目となる。

原題は「Contratiempo」で

「不慮の事故」のこと。

 

「悪魔の証明」とは

困難な証明という法律用語で

存在しないことを証明するという意味。

つまり嘘をでっちあげて

それを事実にしようというのだ。

 

殺人罪で起訴され

追いつめられた被告人ドリアは

凄腕の弁護士グッドマンを紹介してもらう。

実は3ヶ月前に不倫相手とデート中、

山の中で1人の青年の車と

ぶつかりそうになったことが発端だった。

自分たちは無傷だったが

その時相手の青年が死亡してしまい、

浮気中で事件を公にできない事情から

死体を湖に隠すことになった。

 

しかし運の悪い事に

ローラが事故現場で

死亡した青年の父親と遭遇していて

後にローラが疑われて

その時見られた車のナンバーから

ドリアにも疑惑が向けられる。

金でアリバイを作って切り抜けたが

山奥のホテルに2人そろって来いと

脅迫文が送られてきた。

そのホテルでローラが殺され

密室状況で目覚めたドリアが犯人として逮捕される。

今夜新しい証人が出廷してくる前に

グッドマンと相談して

青年の父親がローラを

殺したことにしようとするが……

という緊迫のサスペンス・ミステリー。

 

『ロスト・ボディ』に続いて

またホセ・コロナドを起用。

この人は執念深い役柄が

ぴったり合う。

今回はドリアを執拗に追いつめる

被害者の父親役です。

 

二転三転するストーリー展開は面白いが

どうもこの監督さん

伏線なしの情報の後出しが多い。

『ロスト・ボディ』ではトリックに関する

重要な伏線が無くて

ただ驚かせたいだけの内容だったが、

この作品では

シートを直したことやライターや

演劇の伏線など改善の兆しが見られた。

しかし、

ある1点だけ残念な伏線があって

また評価が下がってしまった。

(詳しくはネタバレ部分で)

 

肝心の密室トリックは

やや肩透かしな印象。

まあそうだろうな

それしかないだろうと予想した通り。

どんでん返しも

予想を越えるほどではなかった。

ミステリ慣れしていると普通の作品だろうが

初見の人はたいてい騙される。

作品としては良質なので見ても損はない。

 

★★★☆☆ 犯人の意外性

★★☆☆☆ 犯行トリック

★★★☆☆ 物語の面白さ

★★★☆☆ 伏線の巧妙さ

★★★★☆ どんでん返し

 

笑える度 -

ホラー度 -

エッチ度 -

泣ける度 -

 

評価(10点満点)

 8点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1分でわかるネタバレ

 

○被害者 ---●犯人 -----動機【凶器】

ダニエル・ガリード ---●アドリアン・ドリア ---口封じ【溺死:車のトランク】

ローラ・ビダル ---●アドリアン・ドリア ---障害の除去【撲殺:置物】

 

<結末>

実はダニエルはまだ生きていて

車を沈める直前に蘇生したが

今更止まれないドリアは

そのまま車を湖に沈めて殺した。

真実を知ったグッドマンは

怒りを露わにして

今までの回想の配役が逆だったことを指摘。

事件の首謀者はローラではなくて

非情なあなた(ドリア)の方だと言う。

 

そしてグッドマンは

今までのダニエルの両親が

ローラを殺した説を却下し、

ローラが両親に全てを話して助けを求めたが

非情なドリアがホテルで

彼女を殺したんだと言うと

ドリアは素直に自分が「殺した」と自白する。

 

タイムリミットの3時間が経過。

ダニエルを沈めた湖の場所を聞き出して

部屋を出たグッドマンは

隣のホテルの部屋で待つ

トマス・ガリードのもとに行く。

そこでドリアに自分の正体を見せる。

トマスの妻エルビラが

グッドマンに変装していたのだ。

全ての真実を知られてしまったドリアは

呆然としながら本物のグッドマンを

部屋に迎え入れるのだった。

 

 

どんでん返し

 

この作品で使われている

どんでん返しは2つ。

 

1つ目は

「信頼できない語り手」を使った

「叙述トリック」です。

事件を回想したドリアの証言は嘘で

ドリア(自分)とローラの配役を

逆にして語っていたこと。

 

死んだと思っていたダニエルは

実はまだ生きていた。

しかしドリアは構わずにトランクを閉めて

ダニエルごと車を湖に沈めてしまった。

この男の非情な性格を知り、

グッドマンは事件の主犯がドリアで

今までの回想の配役が逆だったことを見破る。

もはや「事故」ではなく「殺人だ」と責めると

ドリアは検察に言えるもんなら

言ってみろよと脅す。

 

事故の後で死体を隠そうと言ったり

ダニエルの横領を捏造したりした

首謀者はドリアの方だった。

彼は自分がローラの行動に

巻き込まれたんだと主張するために

配役を逆にした嘘回想を語った。

そして死人に口無しとばかりに

死んだローラに罪を着せている。

 

これは反則だと思うかもしれないが

「信頼できない語り手」は嘘をついてもいいと

ミステリ界では暗黙の了解になっている。

つまり「人狼ゲーム」でいう「人狼」です。

ドリアが嘘をついていることを見破れば

回想シーンに嘘があっても

そういう役割なのだから

アンフェアではないのです。

 

 

水色はミスリード紫色は伏線です。

 

視聴者には

ドリアが本当のことを話しているように

ミスリードしたいのですが

その前にドリアに感情移入してもらいたいので

ローラが殺された状況を語り終えた時に

涙を流して良い人に見せようとしている。

 

その後、

ローラにそそのかされて

言われた通りに行動したような回想を語る。

実は被害者なんだと同情を誘います。

 

その一方で

この回想が嘘であることを見抜く

ドリアが悪人で

ローラが良い人という伏線も

入れなくてはいけないが

探したけど全く見当たらなかった。

ローラが精神が衰弱していたという情報は

ネタバラシ直前まで出て来ない。

さすが「驚かせたいだけの監督」さん。

何も手掛かりを与えない主義のようです。

 

 

 

もう1つのどんでん返し

グッドマンも嘘をついていたこと。

母親エルビラが

グッドマンに変装していて

偽物のグッドマン弁護士として登場していた。

息子を沈めた湖の場所を聞き出して

向かいのビルの窓越しに

顔のマスクをはぎ取ってネタバラシ。

今までの不思議な会話が

フラッシュバックで蘇るという定番の演出。

ドリアさん呆然。

 

この偽物グッドマンを

本物だと思わせるミスリード。

 

レイバからかかってきた電話を

ドリアから受けとって

そのまま普通に会話していたので

たいていの人は本物だと思うだろう。

第一声に「フェリックス?」と

レイバのファーストネームから入るとは恐れ入る。

ちょうど機内のアナウンスがうるさくて

声が聞こえにくくなっていたのもあって

レイバに疑問を抱かせなかった。

 

次はその電話の持ち方に注目。

グッドマンは右利きで

右手でスマホを操作し

万年筆で文字も書く。

一方の母親エルビラは

電話の場面を見ると左利き。

④この2人は利き腕が違う

わざと利き腕を逆にして演じ分けている。

 

でも実は……

②カップでコーヒーを飲む場面では

取っ手が左なのに右手で飲んでいる

どうやら母親も本来は右利きなのに

ここだけ左で電話を受けている。

後に右手で電話を受けるシーンがあります。

③ホテルのドアの鍵を開けるシーンでも右手でした。

登場人物の利き腕を注意深く見る

俺のような視聴者を惑わして

錯覚させているだけのようです。

監督さん利き腕くらい統一してよ……。

 

ちなみに

左利きの人でも

左腕に腕時計をしている人はいるので

(リューズが巻きやすいから)

それで利き腕を判断するのは難しいです。

 

 

偽物のグッドマンを演じたのはアナ・ワヘネル。

本物のグッドマンはブランカ・マルティネス。

こうやって比べてみると

あまり似ていない。

 

では偽物グッドマンと

母親エルビラを比べてみよう。

わかりにくいがアナ・ワヘネルは

唇の右上と左下に

「ホクロ(できもの?)」があります。

 

④そして偽のグッドマンも

同じ場所に「ホクロ」がある

 →化粧でうまく隠しているので

  角度によってはわからない。

  スペイン女優に詳しい人なら見破れた?

 

ブランカ・マルティネスが

グッドマン役で最初から出て

メーキャップを外してアナ・ワヘネルになっても

とくに文句は言われないと思うが、

安易に代役を使わず、

本当に特殊メイクで1人2役しているのは

大胆な決断ですごいと思う。

声はどう変えたんだろう……。


他にグッドマンが偽物とわかる伏線では

⑤最初にグッドマンが来た時、

ドリアが「早かったね」と聞く場面が挙げられる。

予定より3時間早く来たのはおかしい。

 →「イレギュラーな問題が発生した」と言い

  新しい証人が現れたことにして

  早く来た理由を誤魔化している。

 

父親トマスが事故現場を通りかかり

牽引しながら家に帰る間の会話で

妻エルビラに関する重要な伏線が張られている。

 

⑥まず妻がこの近くの

ビエルヘ近郊の峡谷で働いていることを話す。

 →ローラ殺しのあったホテルです。

 

「妻とは演劇仲間だった」と言い

名女優とまで呼んでいる。

 →ここで妻が演技が上手いという

  手掛かりを出している。

  これが後の名演技に繋がる。

 

トマスの家には2人の

劇団員時代の写真も飾ってある。

 

 

どんでん返しの伏線以外では

ローラが嘘を言っていることを

父親トマスが見抜く伏線がある。

 

車の中の懐中電灯を探すのに手間取ったこと。

 →「姉の車だから」と言い訳したが……

 

運転席のシートが後ろすぎて

帰る時に座席の位置を直していたこと。

 →姉の車だとしても後ろすぎる。

  この女は運転していない。

  男が運転していたと父親は疑う。

  ここの指摘は鋭いなと思った。

 

決定的なのは

ドリアのライター

事故現場でレッカーを頼んだ後、

ローラは車の中にあったドリアのライターで

煙草を吸っている。

このライターを

車の整備をした父親が見ていた。

 

そしてドリアに会った時、

ドリアからライターを貸してもらう。

ライターを受け取った父親は

それをじっくり観察する。

 →ここで同じライターだと気付き、

  女とドリアが共謀したことを確信した。

  仮に車を盗まれたとして

  その車にドリアのライターがあったことは

  何も不自然ではない。

  しかし盗まれた車が見つかっていないのに

  その時のライターを持っているのは

  明らかにおかしいからだ。

 

 

 

よくある疑問

 

Q,グッドマンって何をしに来たの?

 

ドリアの顧問弁護士レイバが紹介したのが

凄腕の弁護士グッドマン。

ドリア側としては

確実に無罪を勝ち取ろうと

ドリアを弁護するために呼んでいた。

その情報をキャッチしたトマスが

妻をグッドマンに変装させて

真実を聞き出そうと

本物の到着より先に接触させた。

 

Q,裁判で常に勝利するほど有名な弁護士なのに

どうしてドリアは顔を知らないのか?

 

その質問は答えにくい。

最後に本物が登場するが

遠目には同じように見える。

父親の部屋に

本物グッドマンの写真があったことから

かなり本物を研究していると思われます。

 

本物のグッドマン弁護士は

ブランカ・マルティネスという方が演じている。

確かに良く見たら

アナ・ワヘネルのグッドマンとは違う。

ドリアは事前にグッドマンのことを

調べなかったのだろうか。

 

Q,なぜタイム・リミットが3時間なのか?

 

新しい証人が出廷して

裁判が始まるまで3時間ということだが、

本物のグッドマンが来るまでが3時間であり

彼女のタイム・リミットのことであった。

 

Q,ローラも結婚指輪をしているが結婚していたの?

 

結婚しています。

W不倫というやつですね。

こちらが旦那さん。

仕事が忙しくて

一緒にいる時間が少ないようです。

 

Q,上映時間で41分頃に

グッドマンにかかってきた電話は誰がかけた?

 

謎の証人が出てくると思わせるために

父親(トマス)が向かいのビルの部屋から

グッドマンに電話をしています。

1時間17分頃に

2回目の電話がかかってきたので

おそらく1時間ごとに電話して

作戦の仕上げのタイミングを

教えていたのではないか。

2回目の電話の後、

ダニエルを沈めた湖の場所を

せかすように聞いてきましたから。

 

Q,配役を変えて話したということは

車を運転していたのはローラになりますか?

 

いいえ、そこはドリアです。

運転席のシートの位置から

父親が疑念を抱いたのが事実だから

運転していたのはドリアになります。

ダニエルを沈めたのもドリアで

両親の家に行って

携帯を置いたのはローラ。

携帯を持っていたということは

事故の詳細を聞くふりをしたり

鳴りだした携帯を取りに車に戻ったのもローラ。

 

回想の一部の都合の悪いところだけ

配役を入れ替えて語っています。

 

Q,銀行から5万ユーロを

横領したような細工をしたのは

ローラですか?ドリアですか?

 

ドリアだと思います。

ローラは写真家で

ドリアは実業家。

ローラは銀行で働いていたというが

彼の方が金の力で

コンピューターに詳しい仲間に頼めば

なんでもできる。

なんといっても非情な手段も

平気で使う男ですからね。

 

ローラが夫のシャワー中に

パソコンを起動して

細工するシーンがあります。

本当のことかもしれませんが

嘘を語っているともとれる。

どちらで解釈してもいいなら

ドリアの方により憎しみを抱くように

解釈した方が後ですっきりします。

 

それと事故の後、

ローラは精神が衰弱し

パニック障害になったという医療記録もあり

彼女が主犯の可能性は低いです。

 

Q,密室の事件は結局どれが本当なの?

 

ダニエルの両親が共謀して

ドリアを殴ってローラを殺した話は嘘です。

父親がクローゼットに隠れていて

窓から出てせまい足場をわたって逃げて

後から母親が打ち鍵をかけたというのは

グッドマン(母親)が吹きこんだ作り話。

だいたい警察の隙をついて

内側から鍵をかけるなんて

いかにもミステリーっぽいですが

そうそう上手くはいかないでしょう。

 

あの殺人はドリアにしかできません。

密室内でローラを殺し

逃げずに殴られたふりをして中に残って

犯人に襲われたと芝居をしただけ。

ドリアの自演でした。

 

ダニエルの両親はあの日、

ホテルにいなかった。

事件のことは後から聞いて知った。

それでドリアが逮捕された写真に

後から母親の姿を合成して

ドリアに両親犯人説を信じ込ませた。

そうして口を割らせた後で

衝撃のネタバラシをするわけです。

 

Q,ではなぜ密室にして

自分が不利になるようにしたのか?

 

殴った音を廊下の客に聞かれ、

逃げる間もなく密室状態になった。

困った彼は

ローラの携帯から送られた

「715号室ですべて話す」というメッセージを利用し

自分が誘いだされて

罠にはまったようにすれば

裁判で無罪になる可能性があると考えて

あえて逃げずに頭をぶつけて演技をした。

 

ここはダニエルの母親が働くホテルなので

難しい状況にすることで

計画的な犯行だと思わせれば

逆に有利に働くと読んでいたのだろう。

 

Q,レイバからお金をもらっていた男は誰?

 

事故現場でドリアとローラの姿を見た

通りすがりの運転手です。

レイバから口止め料のお金を受け取り

何も見なかったことにしたのですが

無駄に終わりそうです。

……しかし、よく見つけたな。

偶然にも空港で働く職員だったらしい。

 

Q,万年筆からインクが飛び散ったのはどうして?

 

あの万年筆には盗聴器が仕掛けてあります。

ドリアが万年筆を

ポケットに入れて電話をかけたため、

電波障害で(?)盗聴器が故障してショートし

インクが漏れてしまった。

ちなみに盗聴していたのは父親トマス。

警察に真実を認めてもらう必要があるので

会話を録音していました。

 

Q,タイトルの「インビジブル・ゲスト」とは誰か?

 

「インビジブル・ゲスト」=姿のない訪問者。

密室から逃走した

ローラ殺しの犯人のことだと思わせて

「グッドマンに変装した母親」のことでしょう。

姿が見えないというか

正体のわからない訪問者の意味で。

 

 

「信頼できない語り手」VS「信頼できない語り手」

 

この映画の構成は

登場人物2人の回想を交えた会話劇で、

どちらも嘘をついているというのが

大きな特徴です。

 

2つのどんでん返しでは

2つ目のグッドマンの正体はわかりやすい。

ほとんどの人が

あのババア怪しいなと思っていたのでは?

母親だとピンポイントで当てるのは難しいけど

父親に雇われた探偵か何かで

秘密を聞き出す為に送り込んだのだろうと

予想した人も多いのではないか。

 

やっぱり1つ目の方が驚きがある。

配役が逆だったというやつ。

今までの概念が崩されるのは

驚きも大きいです。

 

惜しいのはこの配役交換が

「驚かすためだけ」のもので

物語の中であまり重要ではないということ。

ローラが主犯格で

ドリアを被害者のようにすることで

裁判で無実になりやすいのと

視聴者に感情移入させてから裏切ることで

怒りを向けるという目的ではありますが、

密室のトリックに何も絡んでいないのは

もったいない気がします。

 

それと『ロスト・ボディ』で

ある人物に関する伏線を張らずに

オチを持ってきて

この監督は卑怯だと思ったが

この作品でも1点だけ残念な部分がある。

 

鏡に母親エルビラが映っていなくて

加工した写真だという場面があるが

実はその写真が大きく映った時に

グッドマンが鏡のところを手で押さえているので

重要な部分が視聴者に見えない。

このシーンの前に

ロングショットで一瞬だけ見えますが

一時停止でもしないと確認できない。

小さくて母親の姿すら確認できない。

この時点で

オチを見破られたくないのでしょうが

こういうのは反則です。

確認できないものを推理できるはずもなく、

これでは伏線になりません。

後出しで実は鏡に映っていなかったとか

誰が推理できますか?

 

 

そういえばこんなツイートを発見。

この映画を

ミステリ作家の大山氏が絶賛している。

予想をはるかに上回りましたか?

う~ん、予想通りでしたが……。

 

粗探しをすると角が立つのでしょうが

こういう細かいところまで指摘できる人が

少ないのは残念に思います。

 

 

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