「感染爆発!時速300kmのノンストップ・サバイバル!!」
確か2017年に日本で公開され
各界の有名人たちが絶賛して
話題になった韓国のゾンビ映画。
その時は見過ごしていたけど
機会あってゾンビ映画を見たくなり
視聴したらもう「凄い」の一言。
どうしてもっと早く観なかったんだ!
と後悔した映画です。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
[TRAIN TO BUSAN]
(2016年)韓国映画
![]() | 新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray] 2,231円 Amazon |
<あらすじ>
ソウル発釜山行きの高速鉄道KTX。別居中の妻のもとへ向かう父ソグ(コン・ユ)と幼い娘スアン(キム・スアン)、出産間近の妊婦ソンギョン(チョン・ユミ)と夫サンファ(マ・ドンソク)、高校生のカップルら大勢を乗せて疾走する列車内で、突如、謎のウィルスが広がり、凶暴化した感染者が乗客を次々と襲い始める。彼らは終着駅にたどり着くことができるのか―?目的地まであと2時間、愛する者たちを守るため、時速300kmの密室と化した特急列車で絶体絶命のサバイバルがはじまる!
<スタッフ>
監督 ヨン・サンホ
脚本 パク・ジュスク
製作総指揮 キム・ウテク
製作 イ・ドンハ
音楽 チャン・ヨンギュ
撮影 イ・ヒョンドク
<キャスト>
コン・ユ(ソグ)
キム・スアン(スアン)
チョン・ユミ(ソンギョン)
マ・ドンソク(サンファ)
チェ・ウシク(ヨングク)
アン・ソヒ(ジニ)
キム・ウィソン(ヨンソク)
パク・ミョンシン(ジョンギル)
イェ・スジョン(インギル)
チャン・ヒョクチン(乗務員)
チェ・グイファ(ホームレス)
シム・ウンギョン(感染者の女)
チョン・ソギョン(運転士)
キム・チャンファン(キム代理)
イ・ジュシル(ソグの母)
ハン・ソンス(チーム長)
ウ・ドイム(ミンジ)
キム・ジェロク(トラック運転手)
家庭を顧みず仕事熱心な
ファンド・マネージャーのソグは
「別居中の母親に会いたい」と言う
1人娘スアンに同行し
ソウル発釜山行きの高速鉄道KTXに乗る。
その列車内には
1人の奇妙な「感染者」が紛れ込んでいた。
「感染者」に襲われた人間が
次々と凶暴な化物に変わっていき、
列車内は大パニックに陥る。
時を同じくして
韓国各地に同じ被害が続出し
逃げ場の無い絶望が広がって行く……。
韓国産ゾンビ・パニックの傑作。
舞台となるのは
高速鉄道KTXの車内。
もしも列車の中でゾンビに襲われたら?
というシチュエーションがまず面白い。
“走る密室”でどこに逃げるか?
どうやって生き延びるか?
開始20分で「感染者」が暴れ出して
すでにクライマックス状態。
そこからハラハラドキドキが止まらない。
ヨン・サンホ監督は
アニメ監督として知られていて
実写はこれが初監督というから驚きだ。
この映画の前日譚となる
『ソウル・ステーション/パンデミック』
というアニメ映画も撮影している。
原題は「TRAIN TO BUSAN」で
直訳すると「釜山行き」
これが日本公開時に
「新感染」というタイトルになった。
これは新幹線とかけたダジャレであり
タイトルのインパクト重視で決めたそうだが、
「ダサイ」とか「別の映画だと思った」とか
タイトル変更には不満が多い。
しかも韓国高速鉄道KTXは
フランスのTGVがモデルなので
厳密には新幹線ではないというオチ付き。
(どちらも高速鉄道の規格の1つ)
この作品中では
「ゾンビ」という言葉は使わず、
「凶暴化」という言い方や
「やつら」とか曖昧な言葉になっている。
当時は韓国で
ゾンビ映画は受けないと思っていたとか。
確かに俺たちの認識している
「ゾンビ」とは印象が違う。
ゾンビと言えば
歩くのが遅いノロノロゾンビが多く
体はボロボロに腐って
動きも緩慢で頭を潰さない限り
何度も立ちあがって来るイメージがある。
しかしこの映画のゾンビは違う。
噛まれた数秒後には
もう感染してゾンビになって
生きている人間に襲いかかるのだ。
しかもめっちゃ走るし動きが早い。
このタイプのゾンビはヤバすぎる。
ゾンビ映画というと
普通は夜がメインで暗いシーンが多くて
よく見えない欠点があるが、
この作品は明るい日中がメインで
ゾンビがはっきり見えるのも斬新だった。
主人公のソグは
仕事しか頭に無い男で
妻ナヨンに愛想を尽かされて別居中。
自分は娘にほとんど構ってやれず
ソグの母が娘の面倒を見ている。
誕生日に何かプレゼントしたいけど
子供が喜ぶ物を知らなくて
会社の人に聞いてWiiを買ったら
もうすでにWiiは持っているという
どこまでも娘のことを知らないバカ親父。
老人に席を譲った娘に説教したり
自分と娘だけが助かればいいと
他人を犠牲にする性格。
そんな彼が娘を守るために
最後まで必死になって戦い、
だんだんかっこよくなっていく。
影の主人公こと
サンファは凄かった。
マッチョでたくましいパワーキャラ。
ゾンビ相手に素手で格闘して
なぎ倒す姿は惚れました。
そしてあの感動のシーンは
涙なくして見れない。
女子高生のジニちゃんも
最初は横顔に「ん?」と思ったが
だんだん可愛くなってきた。
ジニを演じるアン・ソヒさんは
元Wonder Girlsで「国民の妹」と
呼ばれるくらい人気だったとか。
とことん自分勝手な
バス会社のおっさんには
マジむかついたが
悪役がこれだけ腹立たしく感じるのは
素晴らしい悪役ということなんでしょうね。
とにかく大傑作だと思う。
スピード感と絶望感が半端無い。
どうなるのか予想もつかない展開に
手に汗握りっぱなし。
そして3回は泣ける。
親子愛、夫婦愛が詰まってます。
これは一度見たら忘れられない映画。
あまりに衝撃が強すぎて
Blu-rayもiTunesでビデオも購入し、
俺もすっかり「感染者」になりました。
★★★★★ 物語の面白さ
★★★★☆ 伏線の巧妙さ
★★★☆☆ どんでん返し
笑える度 -
ホラー度 ◎
エッチ度 -
泣ける度 ◎
評価(10点満点)
10点
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※ここからネタバレあります。
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●1分でわかるネタバレ
<結末>
ディーゼル機関車を動かした
運転士も犠牲となり、
無人の機関車に飛び乗った
ソグとスアンとソンギョンの3人。
しかし運転室には
感染したヨンソクがいて
3人に襲いかかってくる。
ソグはなんとかヨンソクを振り落としたが
格闘中に手を噛まれてしまう。
パパの死を感じ取り泣き叫ぶ娘。
ソグはスアンをソンギョンに託し、
薄れゆく意識の中で
愛する娘を想いながら
機関車から飛び下りた。
生き残った2人は
釜山の手前で通行止めに遭い
機関車を降りて暗いトンネルを歩いていく。
その先には感染者を射殺すべく
兵士が待ち構えていた。
トンネルが暗いため
歩いてくる2人が感染者か確認できない。
銃の引き金に手を掛けたその時、
トンネル内からスアンの歌声が聞こえた。
やっと生存者だと確認した兵士たちは
すぐさま銃を下ろし、
2人は無事に救助されたのであった。
●感染者のルール
ゾンビもののお約束として
ゾンビの感染と転化には
その作品独自のルールが存在する。
<新感染の転化ルール>
- 感染者に噛まれた場合のみ転化する
- 噛まれた後、数秒~1分程度で転化する
- 完全に死亡していなくても転化する
- 転化すると人間の正常な思考が無くなる
- 生きている人間を噛み殺すことだけが本能
- 仲間の感染者は襲わない
- 傷ついても痛みは感じない
- 通常の人間と同じか若干早く動ける
- 道具を使ったりドアを動かすことはできない
- 階段やシートの段差くらいは越えられる
- 言葉を理解することも発することもできない
- 視界に人間が映った時だけ反応する
- 暗闇になると動きが停止する
- 大きな物音には反応する
- 嗅覚は人間時よりやや劣るようだ
- 返り血や空気から感染はしない
- 人間以外の動物にも感染する
あれだけ激しく掴まれたら
少しは爪で引っかかれているはずだが、
それで感染した様子が無く
噛まれることでしか感染しないのは
口の唾液とウィルスが作用している?
ソグたちは感染者の血がついても
平気で戦っていたが
皮膚からは感染しないようだ。
しかし殴った時に
返り血が口に入ってもおかしくないが
飲み込んでも感染しないということだろう。
感染経路がどうもよくわからない。
風邪のウィルス的な
空気感染する厄介なパターンもあるが
それがないだけマシか。
転化した場合、
感染者は狂気的に
猛烈なスピードで襲いかかって来る。
アメリカの神経科学者の論文
『Do Zombies Dream of Undead Sheep?
(ゾンビはアンデッド羊の夢を見るか?)』では、
昔ながらのゆっくりと歩くゾンビは、
小脳に問題がありそうだと論じている。
後頭部に位置する小脳は、
動きを協調させる役割があるからだ。
一方で俊敏に走り回るゾンビも
のっそりと動くゾンビも、
作業記憶が欠けていると指摘。
社会スキルはなくなり
攻撃を計画することができない。
また認知制御もできない。
認知制御ができないと
欲求を我慢することができず、
目の前の人肉への飢餓を
抑えることができなくなる。
以上のことは
前頭葉の機能不全を示唆している……らしい。
目が白く濁っているのは
もう「死んでいる」という意味だろう。
ただし本来は24時間経たないと
あのように白濁化はしないのだが。
唯一の弱点が暗闇で目が見えなくなる事。
列車内という逃げ場のない
シチュエーションに一服のオアシス。
トンネルを通過するときだけ
ゾンビの動きが止まる設定は面白い。
感染者の主食は何だろう?
噛みついて何をしているのか?
血や肉を求めているより
噛みつくという衝動を
抑えきれないように見える。
同じ感染者同士で
むさぼり食わないのはなぜか。
なにを基準に生死を判断しているのか。
このゾンビの設定に謎は多い。
では感染の原因は何か?
作中には
「バイオ団地から何か漏れた」
という報告がある。
ユソン・バイオ社が原因のようだ。
この作品の前日譚にあたるアニメ、
『ソウル・ステーション/パンデミック』を
観てみたが感染の原因はわからなかった。
誰が第一感染者かという疑問は残る。
●感染の流れ
<1回目>
実際のKTX101は20両編成で
乗客が乗れるのは1~18号車。
そのうち2~5号車がファーストクラス、
6~18号車がエコノミークラス。
この作品のKTXは
1~17号車で編成されている。
映画ではファーストクラスの座席はグレーだが
実際のKTX101は赤色らしい。
エコノミークラスの座席はブルー。
17号車を先頭に走行している。
最初の感染者の女は
12号車に乗っています。
そこからふらついて
11号車の連結部に倒れ
女性乗務員さんに噛みついた。
そして11号車で
高校野球チームを襲い
大パニックになる。
ここから進行方向と逆の
後方車両へみんな逃げていく。
ソグは老姉妹やヨンソクらと
最初は3号車に乗っていたが
スアンを探しに途中まで来ていて
7号車で感染者を目撃する。
6号車の化粧室から出たスアンは
そこでパパを見て叫ぶ。
2人は3号車の方に避難した。
4号車の化粧室には
ソンギョンとサンファがいて
ここを通り抜けた後
3号車のドアを自動から手動に変えて
感染者を入れなくした。
その後、新聞で目隠しをして
荷物でドアを封鎖している。
<2回目>
ソグとサンファとヨングクが
9号車に乗り、
スアンと妊婦ソンギョンと
老姉妹の姉インギルとホームレスが
13号車の連結部の化粧室に閉じこもる。
ヨンソクとジョンギルとジニや
その他大勢は15号車にいます。
今度は進行方向の
前へ主人公たちが進んでいく流れ。
10号車に突撃した男3人衆は
サンファが感染者をなぎ払いながら
なんとか突破に成功。
11号車には
ヨングクのチームメイトがいて
彼が戦えなくなったが
トンネルを通過した時に
感染者の動きが止まる事を発見。
バットで後方に物音をたてて
誘導している間に突破した。
12号車は
トンネルの通過を狙って突入。
座席に着席してから
サンファのスマホを後方に放る。
そのスマホに電話をかけて
着信音で誘導して安全に突破した。
13号車の化粧室で
スアンやソンギョンと再会する。
向かいの化粧室で
男3人がこの後の計画を練る。
次のトンネル通過で
全員が13号車に入り
天井の荷物置きを移動。
途中にあった鞄を後方に投げて
その音で誘導している隙に進むが
ホームレスとソグが間に合わず
明るくなって一度座席に隠れる。
チャンスを窺って出ようとした時に
ホームレスが空き缶を踏んでしまい
全速力で感染者に追われつつ14号車へ。
14号車には感染者はいない。
しかし前方の15号車への
連結部のドアは閉ざされ
後方のドアは押し寄せる感染者を
ぎりぎりでサンファが食い止めている。
ここでサンファが噛まれるが、
転化する寸前まで抵抗して
その間になんとか連結部のドアを破壊。
インギルだけここに残る事を選んで
ソグたちは15号車に滑り込んだ。
そしてその後、
感染を疑われたソグたちは
その先の連結部へ追いやられるのだった。
●伏線解説
この作品の
最も素晴らしい伏線回収は
「アロハ・オエ」の歌ですが
それは最後に残しておきます。
それ以外の伏線を解説。
まずはソンギョンの娘の名前の伏線。
サンファはソンギョンのお腹の中の子に
なんという名前をつけるのか迷っていた。
戦いの中で
感染者に噛まれたサンファは
自分の命が
あとわずかしか残されていない。
死を覚悟したサンファが言う。
「ソヨンだ!娘の名前はソヨンだ!」と。
その言葉が遺言となる。
→まずここが泣ける場面です。
ヨンソクが悪人であることを
幼いスアンが見抜いている伏線。
ヨンソクがホームレスを指差して
お嬢ちゃんも勉強しないとああなるよ
と言ったらスアンは
「うちのママはそういうこと言う人は、そう言う人の方が悪いんだって言ってた」
→このおっさんが1番悪人でした。
●よくある疑問
Q,「目的地まで2時間」ってどういう意味?
KTXのソウル~釜山間の走行時間です。
実際には2時間20分ほどかかるし、
しかも映画の内容とも違う。
釜山までノンストップで
列車が走るわけではありません……。
Q,ホームレスは何か知っていたのですか?
あのホームレスは
ソウル・ステーションから来た
感染の生き残りですが
とくに感染の秘密を
知っていたわけでは無いようです。
おそらく
トイレに閉じこもって
感染者の女かと思わせたり
ソンギョンたちが乗ったドアをこじ開けて
ドキッとさせる都合のいい
ミスリード要員だったのでしょう。
ソグが初見なのに
感染者がドアを開けられないことや
目に見えると襲うことを
見抜くのが不自然なので
生き残りのホームレスに言わせた方が
説得力があったように思う。
ほとんど役立たずだったけど
ソグを襲った感染者に上着で目隠ししたり
最後は体を張って
スアンたちを救ったのは立派でした。
Q,老姉妹の妹ジョンギルはなぜ15号車のドアを開けてしまったのですか?
自らゾンビとなった姉の姿を見て
姉と一緒にいたいという気持ちと
生きることと死ぬこと
どちらが楽か考えた結果だと思う。
それと醜い人間の争いを見て
こいつらを巻き込んでやろうという
やけになっている部分もあるでしょうね。
Q,手を噛まれた場合、噛まれた手をすぐ切り落とすと助かりますか?
監督は「一理ある」と言ってます。
本当か嘘かはわかりませんが
小陰人は感染が遅いらしいので
すぐ切れば助かるのかもしれません。
Q,ソグの奥さんは死んだのですか?
電話が繋がらなくなった=死。
普通はそう考えます。
しかし感染したとも
死んだとも確定していない。
生きている可能性もあるということ。
俺としてはソグの妻は
生きていると思いたいです。
こちらに想像できる余地があるのなら
そういう作り方をしているのなら、
最大限に幸せな想像をしても
いいんじゃないでしょうか。
そう解釈するのも
映画の楽しみ方の1つだと思います。
Q,続編があると聞いたのですが?
2019年に撮影開始予定。
英ScreenDailyによれば、続編は韓国語で半島を意味する「Bando」の仮題のもと、来年の早い時期に撮影をスタートすべく、現在ヨン監督自ら脚本を執筆中とのことだが、NEW(ニュー・エンターテインメント・ワールド)が前作に続き製作・配給を手がけるということ以外に、予算やキャスティングなどの詳細についてはまだ明らかになっていない。
続編について、「ウイルス感染後の半島が舞台だという点と、ゾンビ映画にインスパイアされたサバイバルアクション物だという点では続編と呼べるかもしれないが、キャラクターもまったく異なるし、さしずめ『同一の世界観を持った前作の延長線上の物語』とでも言ったところかな」と明かしたヨン監督は、「まだ脚本を書き始めたばかりだけど、前作よりはるかにスケールの大きい、アクション満載の映画になるということだけは確か」と自信をのぞかせる。
Q,撮影の裏話を教えてください。
- 「プサン行き」というタイトルにしたのは、明確な目的地があればそこへたどりつくための紆余曲折を自由に展開できる意図があった。
- 『ソウル・ステーション/パンデミック』を製作して、配給会社NEWからそれを実写化してみないかと話があったが、そのまま実写化しても意味が無いのではないかと思い、後日談の『TRAIN TO BUSAN』を製作した。
- 実際のKTXは通路が狭いため、違和感のないように通路を広げた。劇中の車両は1号車から17号車まであるが、一般車両と特室の2つのセットの内装を変えて違う車両に見せた。
- 劇中にテジョン駅と東テグ駅が出るが、人が多いので主な撮影は予備のプラットホームがある地方の駅で地面や風景を加工している。東テグ駅の駅舎は釜山で、テジョン駅のプラットホームは東テグ駅で外部のシーンを撮影。
高速移動している車内を表現するため、LEDリアプロジェクションというKTXのセットの外にたくさんのLEDディスプレイを設置し、そこに映像を背面から投影することで車窓から見える時速300kmで動く景色を表現している。普通はグリーンバックを使うのだが、ライトを当てると緑色の光が車内に入って来て、それが人物の肌にかかると取り除くのが難しいため。
- 冒頭の交通整理の人形は高額。
- トラック運転手のキム・ジェロクはヨン・サンホ監督の全ての作品に出演している役者。
- 轢かれた鹿が起き上がる様子はCG。
- スアンは最初の設定は男の子だった。誕生日プレゼントでWiiを渡したが、男の子だったらプレステにするつもりだった。
- ヨン監督はキム・スアンという子役を見て「この子を出さなければ監督失格だ」と思い、娘に変更した。
- コン・ユは娘役のキム・スアンを別格の天才子役と絶賛している。
- キム・スアンは現場のムードメーカー。休憩時間に踊って共演者たちを和ませた。
- スアンの発表会をビデオカメラで撮ることに時代遅れと批判されたが、撮ったのが祖母なので……と言い訳。
- デモのニュース映像は狂牛病デモの映像に感染者を合成した。
- 序盤に感染者になるハン・ソンス、ウ・ドイム、シム・ウンギョンの3人には、まず観客にインパクトを与えるため感染者の動きをしっかりトレーニングした。
- ゾンビの動きはボーンブレイクダンスを参考にしている。
- すぐ感染する人となかなか感染しない人がいるのは体質?「太陽人」は早く、「小陰人」は遅いらしい。
- 感染者は最初ドアも開けれる設定だったが、それではきついため開けられない設定に変更。
- ソグ役のコン・ユは、電話で母の感染を知った時の表情が上手くできなくて後悔。
- ニュースで国民の安全は確保されていますと呼びかけているのは製作者イ・ドンハ。
- 炎天下の撮影で、車内は相当暑かったらしい。
- ヨン監督の1番好きなキャラは悪党ヨンソク。
- テジョン駅の格闘で、サンファ役のマ・ドンソクは盾を持って感染兵士を殴った後、その足をよけようとして転んで膝を怪我した。以降の撮影は膝が痛くて座れなかった。
- 奇抜な動きをする感染者はブレイクダンスなどのダンサーが演じている。
- 列車内で襲われるとどうしても横の動きしかないので、テジョン駅ではエスカレーターや階段を感染者が登ってきたり、上から降って来るとか上下の動きを意識してアクションに変化を持たせた。
- ガラスドアを感染者が破るシーンは合成。偽のガラスだが怪我をした人もいる。
- 13号車の化粧室での男3人の会話「バットを下ろせ」「身長181cm」「どうだ?俺かっこいいこと言っただろ?」などはアドリブ。
- 15号車への連結部のドアを殴るヨングクのバットは本物のバット。感染者を殴るバットは偽物。
- 最初の台本には感染してゾンビになったサンファが歩くシーンもあったが、後味が悪すぎるため削除した。ちなみにゾンビサンファはなぜかソンギョンは襲わずにヨンソクを襲って殺す設定もあったようだ。
- 15号車で感染者がヨンソクたちを襲っているのを、連結部に追いやられたソグたちがドアを見つめるシーン。台本ではソグがドアを開けて助けようとするのだが、あえて何もせず見るだけに変更した。
- 映画の運転席は本物。車両基地を1日借りて撮影。
- 1時間29分頃の列車からソグたちが降りるシーンのドアがCGだとモロにわかることを監督がCG班に言ったら逆に「今さら遅いです」と怒られた。青いラインが合っていない。
- ジニがゾンビになるシーンでヨングクが上手く泣けずにNG連発。そのためジニ役のアン・ソヒはゾンビになっていく迫真の演技を何度もやらされて可哀想だった、と監督。
- 「妊婦の走り方が早い」と批判された監督は「ゾンビに追いかけられたら妊婦も早く走ります」と回答。
- 感染したヨンソクが機関車の運転席のドアを開けられたのはまだ完全に転化していなかったから。目の白い濁り方は4段階のカラーコンタクトで調整していて、自我が残っている人はまだ黒い。転化すると完全に白くなる。もっと明確にゾンビ化を区別できるようにしたかったと後悔している。
- 機関車の運転室での父娘の別れのシーンは、あえてソグは何も言わないことにした。口に出さなくても気持ちは伝わる。それに長い台詞は時間的に無理があるとの判断。
- 最後のオチは『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』へのオマージュ。
- 主人公のソグが死亡することは企画の最初の段階で決まっていた。
●名台詞・名場面
>13号車の化粧室に男3人が隠れる。サンファはソグと娘の関係を見て、こう助言する。
「あんた、忙しくて娘と遊べないんだろ?もう少し大きくなれば、あんたが何で頑張ってるかわかってくれるさ。父親ってのは、文句言われてもじっとこらえて家族の犠牲になるもんだろ。なあ?」
>15号車の騒動の後、束の間の休息。娘の手を取り、ママのところへ連れていくと約束する。
「誕生日なのにな……。大丈夫だ。ママに会いに連れていくから」
「パパは怖くないの?」
「怖い……。パパだって怖い」
「さっきはすごく怖かった。もうパパに会えないと思ったから。あの歌だってパパに聞いてもらうためにたくさん練習したの。だから歌えなかった。パパが来なかったから……。ずっと一緒にいてくれる?」
「……」
ソグは無言でスアンの頭を撫でる。
監督によるとソグは
死を予感していたから答えなかったようです。
>感染したソグはスアンにプサンに行けと伝え、必死に止めるスアンを振り切って、娘を抱いた記憶を胸に機関車の後部デッキから飛び下りる。
「行かないで……お願いだから。一緒に居て……行かないで!」
「うう……」
「パパー!」
ここが大号泣のシーンです。
●アロハ・オエ(Aloha Oe)
「アロハ・オエ」は
ハワイ王国の没落を悲しむ別れの歌。
スアンは発表会で
この歌を最後まで歌えなかった。
それは1番聞いてほしかったパパが
発表会に来ていなかったから。
だから途中で歌うのを止めた。
それを聞いたソグは
最後まで歌わなきゃ駄目じゃないかと言う。
「途中で諦めるなら最初からやらないほうがいい」
プサンへ向かうトンネルに入って
その先には銃を構えた軍隊がいた。
感染者かどうか確認できないため
射殺命令が出たその時、
トンネルの中から
少女の歌声が聞こえる。
「さようなら 穏やかで心優しい人
去りゆく前にもう一度の抱擁を
また会う時まで」
パパのために歌ったこの歌。
パパが来ていないから歌えなかった歌。
パパに最後まで歌ってと言われた歌。
その歌を最後まで歌ったから……。
命をかけて守ると誓ったパパが
最後にスアンを
助けてくれたのかもしれない。
そう思うと涙が止まらない。