Quantcast
Channel: 裏旋の超絶☆塩レビュー
Viewing all articles
Browse latest Browse all 997

【ネタバレ注意】映画『ドント・ブリーズ』の感想。

$
0
0

「この家から生きて脱出したければ、

息をするな…」

 

 

『ドント・ブリーズ』

[Don't Breathe]

(2016年)アメリカ映画

 

 

<あらすじ>

アメリカのデトロイトに住む不良少女のロッキー(ジェーン・レヴィ)は、生活能力が全くない親のもとから幼い妹を連れて逃げるための逃走資金を必要としていた。そんな時、恋人のマネー(ダニエル・ゾヴァット)から、大金を隠していると噂される1人暮らしの盲目の老人宅へ友人のアレックス(ディラン・ミネット)と3人で強盗に入る計画を持ちかけられる。
真夜中にそこへ忍び込み、盲目の老人(スティーヴン・ラング)から大金を手に入れるのはいとも簡単なはずだったが、その老人は元軍人で、目は見えないが超人的な聴覚と軍隊仕込みの戦闘術を持っていて、侵入者の殺害も厭わない恐ろしい人物だった。
寝室、キッチン、屋根裏、クローゼット、バスルーム……どこに逃げようが、ヤツは“音"を聞きつけものすごいスピードでやってくる。逃げ道を失った彼らが、たどりついた地下室で見た光景はあまりにも衝撃的なものであった。彼らは生きてここから出られるのだろうか……。

 

<スタッフ>

監督・脚本・製作 フェデ・アルバレス

脚本 ロド・サヤゲス

製作 サム・ライミ

    ロバート・タパート

製作総指揮 ネイサン・カヘイン

    ジョー・ドレイク

    エリン・ウェスターマン

    J・R・ヤング

    マシュー・ハート

音楽 ロケ・バニョス

撮影 ペドロ・ルケ

編集 エリック・L・ビーソン

    ルイーズ・フォード

    ガードナー・グールド    

 

<キャスト>

ジェーン・レヴィ(ロッキー)

ディラン・ミネット(アレックス)

ダニエル・ゾヴァット(マネー)

スティーヴン・ラング(盲目の老人)

フランシスカ・トローチック(シンディ・ロバーツ)

エマ・ベルコヴィシ(ディディ)

クリスティアン・ザヒア(ラウル)

カティア・ボーカー(ジンジャー)

セルゲイ・オノプコ(トレヴァー)

 

 

3人の男女がお金を盗むために

盲目の老人の家に侵入したら

相手がめっちゃ強くて

返り討ちにあうという話。

簡単に言えば

「老人版ホームアローン」

ただし相手はサイコな殺人鬼。

 

「ドント・ブリーズ」とは

「呼吸をするな」という意味。

「ドント・プリーズ(please)」かと読み間違えてたが

息(breath)のことでした。

 

盲目であるという設定が秀逸で

目が見えないからすぐ近くまで接近しても

音を出さなければ大丈夫、

その手があったかと感心した。

正面から歩いてくる老人を

通路に張り付いてかわす場面は

とくにハラハラしました。

 

しかしながらこの映画、

ヒットしたわりに欠点もかなり多い。

 

「超人的な聴覚」という煽りだが

最初に侵入したガラスの音や

会話の声や階段を上がる物音、

アレックスの携帯の着信音に反応していない。

その音やばいんじゃないの?と思ったが

超人的な印象が皆無だった。

呼吸するなというのだから

呼吸の音すら聞き取れるくらいじゃないと

面白くないと思う。

 

どこに隠れても見つかるような怖さと

絶望感が無いんですよね。

番犬(ロットワイラー)も

動きは激しいがあまり怖くない。

 

戦う相手の強盗が3人というのは

ちょっと少ない気がする。

しかも1人目が早々に殺されるので、

2人が逃げ回るだけの時間が長い。

あと2人くらい外で待機していて

戻って来ないからおかしいぞと

知らずにやってきて

ぶっ殺されてほしい(言い方

 

それと画面が暗すぎて

何をやっているのかわからない。

ホラーだから暗いほうが良いけど

暗いなりの状況の見せ方が下手に思える。

相手が目が見えないから大丈夫だと思って

強盗側が室内の明かりを点けて

見やすくしてくれてはいるんだけど。

 

この映画に登場する

ほぼ全員が悪人なので

感情移入ができないのも辛い。

主人公のロッキーも

妹を助けるためとはいえ

強盗していいわけがないし

金の隠し場所を見つけたら

逃げるより先に

ちゃっかり金を奪っていて呆れた。

 

賛否両論ありそうなラストは

見終わった後の胸クソの悪さもあって

評価が割れそう。

俺は好みじゃなかったです。

 

 

★★☆☆☆ 犯人の意外性

☆☆☆☆ 犯行トリック

★★★☆☆ 物語の面白さ

★★★★☆ 伏線の巧妙さ

★★☆☆☆ どんでん返し

 

笑える度 -

ホラー度 ◎

エッチ度 △

泣ける度 -

 

評価(10点満点)

 6.5点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1分でわかるネタバレ

 

○被害者 ---●犯人 -----動機【凶器】

マネー ---●盲目の老人 ---正当防衛【射殺:9ミリ自動拳銃】

アレックス ---●盲目の老人 ---正当防衛【射殺:銃】

 

<結末>

1人だけ屋敷を脱出したロッキーだが、

犬と車内で格闘している間に

老人に追いつかれてしまい

昏倒させられて

再び屋敷に連れ戻される。

 

気がついたロッキーは

リモコンを拾い

911に通報するとアラームが鳴りだした。

音に敏感な老人が動けない隙をついて

バールで老人を殴り倒して外へ脱出。

警察のサイレンが近づいてくる中、

お金を持って逃亡する。

 

ロッキーは妹を連れて

カリフォルニアへ向かう途中、

テレビから流れる

昨夜の強盗事件のニュースを見て驚いた。

助け出された老人が映っている。

老人は重体だったが生きていたのだ。

そして

2人の強盗を老人が返り討ちにして

何も盗まれてはいなかったという話に

少しだけ不安を覚えるロッキーだった。

 

 

どんでん返し

 

期待したわりに

とくにこれといったどんでん返しは無かった。

主人公が生き残るかどうか別にして

予想通りの展開とオチでした。

 

俺が一番驚いたところは

老人がシンディを孕ませていたこと。

ここで老人が普通じゃなくて

サイコパスなんだとわかる。

娘を殺した女に代わりの子供を

孕ませていたという畜生っぷり。

子供を産んだら解放する約束だったとか

人を何だと思っているのか。

 

その他で驚いたのは

犬が急に車を攻撃してくるところ。

これは普通にびっくりします。

 

それでは伏線解説。

 

紫色は伏線です。

 

冒頭の引きずられる女はロッキー。

その後の展開を暗示している。

 →車で犬と格闘した後で

  連れ戻されるところです。

 

②老人が娘のことに執着している様子は

寝るときにも娘のホームビデオを

再生していたことで強調されている。

 

③マネーが「あんたがここに

隠しているものを知っている」と言うが

地下室への鍵を壊して言った為に

地下室の娘のことだと勘違いされた。

 →口封じしなくてはいけないから

  老人を本気にさせてしまった。

  もしもお金が目的だと言っていたら

  生きて帰れたのだろうか?

 

入り口で脱いだ靴が2足あることで

侵入者が2人いることに

老人が気づく場面は良かった。

 →マネーとロッキーが脱いだ靴。

  音をたてないように配慮した結果が

  あだとなってしまう。

 

老人の弱点。

それは大きな音。

聴覚が良いために大きな騒音に弱い。

洗濯機が回った時に

かなり嫌な顔で慌ててスイッチを止めた。

 →後の警報の音でロッキーに倒される伏線。

 

アレックスが植木ばさみで刺される場面も上手い。

⑥グサッと刺されて死んだと思われたが

刺されたのはマネーの死体だった。

 →あの位置にマネーの死体を移動したのは

  老人自身だったのに

  間違えてとどめを刺してしまい

  アレックスは命拾いしたのだ。

 

幼いロッキーが父親が恋しくて泣いていると

母親が怒って

何時間も車のトランクに閉じ込めた過去

犬との車の戦闘で

やり返すかたちで回収される。

 →犬をトランクに閉じ込めましたね。

 

そのトランクの中で

てんとう虫を見て心が落ち着いたロッキーは

腕にてんとう虫のタトゥーを入れている。

そしてクライマックスでてんとう虫を見て

その視線の先にリモコンを発見する。

 →このリモコンが危機を救う。

  まるでてんとう虫が教えてくれたみたい。

  ロッキーにとって、てんとう虫は

  「自由と幸運のシンボル」と監督は語る。

  ちなみに

  てんとう虫はCGではなく本物を使っている。

 

地下室の鍵を壊して

開けようとしたが役に立たず、

地下室から戻ってドアをつっかえ棒にしたが

時間稼ぎにもならなかったバール

最後に老人を倒す武器として活躍する。

 →あの時捨てたバールが

  最後に役立つのはお見事。

 

 

よくある疑問

 

Q、3人の強盗の手口とは?

 

アレックスの父親が

「リミナル・ホーム・セキュリティ」という

警備会社の社長で

その契約している家に

親父の部屋から合鍵を持ち出して

リモコンで警報を解除して忍び込み

金目の物を盗んでいた。

現金1万ドル以上を盗むと重罪になるため

現金以外の金目の物を盗む主義。

 

闇のバイヤーに

盗品を売って金にしているが

1回の強盗で稼げるのは少額。

そのため今回の

老人の家を襲う話を斡旋してもらった。

これが後に悲劇に繋がる。

 

Q,ロッキーの家庭環境は?

 

両親は離婚し

父親が出て行った。

母は新しい男と毎日遊んでいて

ロッキーは早くお金を貯めて

妹ディディーを連れて

ここから逃げ出したいと思っている。

 

Q,ロッキーはマネーのどこに惹かれたのか?

 

マネーは大雑把だが男らしくて

いかにも悪者なキャラ。

どこが好きかははっきり語られないが、

「何人で来た?」と

老人に聞かれた時「俺1人だ」と

最後まで仲間をかばった姿を見ると

本来は優しい人物なのではないかと思うし

そういう部分のギャップに惹かれたのでは?

 

Q,これは娘の写真ですか?

それと写真が逆さになっていた意味は?

 

この写真の人物が娘です。

奥さんだと写真が新しすぎる。

 

写真が逆さなのは

老人が本当に盲目であること

目が見えなくても形として残したいくらい

娘を溺愛していたことを表現したものでしょう。

⑪家に来て「逆さまだぞ」と

教えてくれる友人もいない孤独な男だとわかる。

どうやって写真をプリントアウトしたとか

そもそも誰が撮ったとか謎は多いですが。

 

ちなみに最後の銃乱射時に

一瞬だけ別の写真が映る。

モノクロなので

こっちが奥さんの写真。

 

Q,なんで老人は睡眠ガスが効かないんだよ。

 

徳弘正也の『狂四郎2030』だったかな。

主人公の狂四郎は

戦争で戦闘マシーンとして活躍したが、

その軍の訓練で毒ガスに耐える

訓練をしていた話が出てくる。

まあだから睡眠ガス対策も軍隊の訓練で

あったのではないかと推測してみる。

 

監督のコメンタリーでは

彼らは都市伝説のような睡眠ガスを

信じて使ったが効果が無かった。

そんな都合のいいガスは

本当は無いんだそうです。

少し眠くなったかもしれないが

ペットボトルの自家製サイレンサーが

あまり音を遮断しなくて

聴覚の良い老人は起きてしまった。

 

Q,老人は靴が2足あることに気づく前、

くんくん臭いをかいで靴を見つけた。

マネー(とロッキー)はそんなに足が臭いのか?

 

マネーの靴は臭そう。

と監督が言ってますから靴の臭いが原因。

そんな強烈に臭くなくても

老人は盲目で嗅覚も鍛えられているから

わずかな臭いにも反応したのだと思う。

 

探し方からして上の方を探していたので

(その途中で足元に靴があった)

靴の臭いじゃなく

ロッキーの煙草の匂いに反応した可能性もある。

家に入る前に煙草を吸っていましたから。

でもそれだと

さっきあんなに近づいていたのに

何も臭わなかったのか?とか

いろいろ矛盾はありそうです……。

 

Q,地下室に監禁されていた女は誰?

 

シンディ・ロバーツという

金持ちの娘で、

交通事故で老人の娘を轢き殺している。

裁判で無罪となったが

お金で買収した疑いがあり、

娘を殺された老人が拉致し

地下室に監禁されていた。

 

実は老人は彼女に

自分の子供を孕ませていて

子供を産ませるつもりだったが、

彼女が死んだことでそれができず

代わりにロッキーを孕ませて

子供を産ませようとしてくる。

 

⑫彼女が死んだ時、

「ベイビー」と言って悲しんだのは

シンディに対してではなく

お腹の子供に対してである。

サイテー。

 

Q,目が見えないのに

どうやってシンディを捕まえたのか?

彼女に恨みがあるのに

老人が警察に疑われないのも変だ。

 

確かにそれは思う。

シンディが家の中に入ることはまずないので

近くを通った時にさらったのでしょう。

力はあるのでさらうのは簡単。

問題はシンディがこの近くを通る理由と

警察が老人の家を捜索したかどうか。

まさか盲目の老人が……という

先入観があって

この家を捜索をしていない可能性が高い。

 

Q,老人はどうして地下室に追いかけて来ず

外の出口に回り込んでいたのか?

 

金庫の番号を知られて金を奪われた。

外への出口の鍵が入った

金庫の番号も同じであるから

瞬時に察して外から回り込もうと考えた。

 

地下室の出入り口のそばには犬小屋がある。

老人は犬が眠らされているのを起こし、

鎖を外して家の中に送り

地下室のドアの見張りにつけた。

 

Q,老人は自分の精子を溜めておいたの?

 

マスターベーションで溜めた

自分の精子を冷凍保存していた。

レイプしないとか言ってますが

自由に勃起できないのも一因では?

スポイトを口につっこまれた場面は

ざまあwwwwでしたね。

 

Q,最初に侵入した時と

アレックスが追いつめられた時の

作業場の工具掛けが変化している。

糸ノコは何に使用したのか?

 

細かい……。

確かに糸ノコと緑のビニールテープの

位置が動いてます。

<最初>

<最後>

電動ドライバーも使っていたし

板を糸ノコで切って貼り合わせて

窓をふさぐつもりだったんじゃないでしょうか。

きちんと整理されていた工具が

無茶苦茶にかけてあることで

老人の心の乱れを表現したのでしょう。

 

 

To Be Continued?

 

この映画のラストは

ロッキーだけが助かって

お金を持って妹とカリフォルニアに逃げる。

老人は死んだと思ったのに生きていて

なぜかロッキーのことを口外せず

お互いに秘密を持ったまま終わる感じ。

老人の本性も暴かれず

監禁されていたシンディのことも触れずに。

 

普通に面白く見れたが

最後どうもすっきりしない。

ロッキー生き残る必要あったかなぁ?

せめてお金は盗めなかったが

命は助かったとかならまだいいが

他人のお金盗んどいて

幸せになってもなぁ……。

警察も被害者の友人が急に姿を消したら疑うし

老人を殴ったバールや

家のそこらじゅうに指紋と血痕がついてる。

アレックスの携帯は途中で充電切れになったが

ロッキーとの「助けて」というやりとりも残ってるし

逃げ切れるとは思えない。

 

老人は自分の犯罪を

お金で口止めしたかたちですが、

お金も子供も失って

それでも黙っている必要があるのだろうか?

金で生きのびた奴に容赦しないのが

今までのセオリーだとすると

ただでは済まないと思うが。

どうやら続編が決まっているようなので

続編で再び対決するのでしょうか?

 

登場人物みんなクソなので

生き残ると胸糞悪さだけが残る。

暇つぶしや大勢で見るには

面白い映画ではあるけどね。

 

 

>裏旋の映画レビュー倉庫へ


Viewing all articles
Browse latest Browse all 997

Trending Articles