ディズニーのCGアニメ映画。
『ベイマックス』
(2014年)
2016年の年末に
金曜ロードショーでも放送されていましたが
忙しくて見る機会が無く、
年が明けてやっと見れた。
上の予告で
ロボットと子供の交流を描いた
ほのぼの感動系の
子供向けドラマだと思っていたのですが
いやもう全然違うじゃん!
予想と違いすぎてびびった。
でも俺の好きな方向の
違いだったので
これは大歓迎。
最後はまさかの展開で
ほろっと泣かされました。
とくに30~40代の
ロボットアニメ好きのおっさんは
かなり楽しめると思います。
※詳しくは下のネタバレ部分で語ります。
泣ける場面ではないけど
一番印象的なのは
中盤のベイマックスがカイロになって
みんなで身を寄せて温まる
このシーンが大好きです。
<あらすじ>
かけがえのない大切な人を失った時、ぽっかりと胸にあいた穴はどう治せばよいのだろうか……。謎の爆発事故で最愛の兄タダシを失い、心に深い傷を負った14歳のヒロの前に現れたのは、何があっても彼を守ろうとする一途な“ケア・ロボット"ベイマックスだった。
日本とサンフランシスコからインスピレーションを得た架空都市サンフランソウキョウを舞台に、壮大なスケールで描かれるふたりの絆の物語!
<スタッフ>
製作総指揮 ジョン・ラセター
製作 ロイ・コンリ
監督 ドン・ホール
クリス・ウィリアムズ
脚本 ジョーダン・ロバーツ
ダニエル・ガーソン
ロバート・L・ベアード
原作 ダンカン・ルーロー
スティーブン・T・シーグル
『ビッグ・ヒーロー6』
編集 ティム・マーテンズ
音楽 ヘンリー・ジャックマン
主題歌 AI『story』
<キャスト(米国版声優/日本版声優)>
ライアン・ポッター/本城雄太郎(ヒロ・ハマダ)
スコット・アツィット/川島得愛(ベイマックス)
マーヤ・ルドルフ/菅野美穂(キャス)
ダニエル・ヘニー/小泉孝太郎(タダシ・ハマダ)
ジェイミー・チャン/浅野真澄(ゴー・ゴー)
デイモン・ウェイアンズ・Jr/武田幸文(ワサビ)
ジェネシス・ロドリゲス/山根舞(ハニー・レモン)
T・J・ミラー/新田英人(フレッド)
アラン・テュディック/森田順平(アリステア・クレイ)
ジェームズ・クロムウェル/金田明夫(ロバート・キャラハン教授)
★★☆☆☆ 犯人の意外性
★☆☆☆☆ 犯行トリック
★★★★★ 物語の面白さ
★★★☆☆ 伏線の巧妙さ
★★★★☆ どんでん返し
笑える度 ◎
ホラー度 △
エッチ度 -
泣ける度 ◎
総合評価(10点満点)
9点
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※ここからネタバレあります。
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●ネタバレ解説
○被害者 ---●犯人 ---動機【凶器】
①タダシ・ハマダ ---●ロバート・キャラハン ---事故【火災】
結末
研究発表会の事故で死んだと
思われていたキャラハン教授は
ヒロのマイクロボットを奪って生きていた。
そして仮面の男として現れ、
実験中の事故で死んだ娘
アビゲイルの仇を討とうと
クレイの命を狙う。
武装したヒロたちが
キャラハン教授を止め、
実験装置の中にアビゲイルが
まだ生きていることを知ると
ヒロとベイマックスが中に飛び込む。
アビゲイルを救助したものの、
ベイマックスは脱出直前に負傷し、
最後の力でヒロとアビゲイルだけが
装置の外に戻ってくる。
ベイマックスを失って数ヶ月。
悲しみを乗り越えたヒロは
ある日ベイマックスのロケットパンチが
何かを握りしめていることに気付く。
それはタダシが作った
ベイマックスの記憶の詰まった
「ケアカード」だった。
ヒロはベイマックスを
自力で完成させて彼と再会し、
みんなと共に
サンフランソウキョウの街を守るヒーロー
「BIG HERO 6」として、
今日も人々を助ける―――。
●どんでん返し
この作品は
あっと驚く凄いどんでん返しはない。
仮面の男の正体は
終盤でキャラハン教授とわかるが
怪しいのはクレイかキャラハンなので
犯人の意外性はない。
どんでん返しとして挙げるなら
最後のロケットパンチの
手の中にケアカードを
握りしめていたところだろう。
もうベイマックスと
会えないと思っていたところに
あのカードが残っていて
今までの記憶と心を持った
ベイマックスを復活させることができた。
古いギャルゲー好きなら
『To Heart』のマルチを
思い出したのではないだろうか?
俺はそうでした。
●伏線の解説
『ベイマックス』というタイトルですが
原作はマーベルコミックの
アメコミ『BIG HERO 6』という
超能力を使ったヒーローものだった。
それをディズニーがリメイクして
舞台を東京からサンフランソウキョウに、
ドラゴン風ロボから看護ロボットに、
超能力から発明品で
活躍するヒーローに変更した。
冒頭でタダシに大学に連れてこられ、
科学オタクのラボで
仲間たちが紹介されるが、
そこで披露した発明が
のちに自分たちの能力になっている。
ゴー・ゴーは
電磁サスペンションを使った
反重力バイクを開発している。
ワサビは
レーザープラズマの研究。
ハニー・レモンは
科学薬品の開発。
フレッドは学生ではないが
火を吹くトカゲになる薬を
開発してもらいたがっている。
→それぞれが特徴をもった
ヒーロースーツを来て活躍する。
仮面の男の正体をさぐるため
スキャンするという場面で
「見方を変えて見る」という台詞が出てくる。
→最終決戦でピンチに陥った仲間たちが
発想の転換を行い困難を脱出。
テレポート装置のポータルの中に
生命反応を感知。
ヒロは「彼女は生きているんだ。
助けに行かないと」と言って
迷いなく向かっていく。
→「教授がいるんだ。助けに行かないと」
と言って火事の中を
迷いなく進んでいった
兄タダシの姿と重ねている。
ロケットエンジンが壊れて
動けないベイマックスが
唯一動かせる方法がある。
→それがロケットパンチだった。
「ベイマックスもう大丈夫だよ」という言葉。
最初の頃は
ベイマックスを早く止めたくて
すぐにでも「言いたい言葉」だったが
それが最後では
別れを意味する
「言いたくない言葉」へと変化する。
→最後にヒロが
「ベイマックスもう大丈夫だよ」と
涙声で言う場面は
涙なくして見れない。
フレッドがパンツを洗濯せずに
何度も裏返して履く習慣。
→エンドロールの後の隠し部屋で
登場する人物が
彼の父親であることの証明。
父も同じ習慣をもっていて
ヒーローとして活躍していた。
ちなみにこの人物は
マーベルコミックの編集委員の
スタン・リーがモデル。
●よくある疑問
Q,最後のロケットパンチの中の
ケアカードはいつのまに握ったの?
あれで記憶が戻ったのはなぜ?
ヒロがベイマックスの手を
引っ張る場面では
ベイマックスはまだ手に何も握っていない。
ロケットパンチをセットしてから
あのカードをこっそり握るのは無理なので、
「ロケットエンジンが壊れました」と聞いた後
ヒロが出口までの距離を知るため
数秒間後ろを振り返っている。
おそらくこの間に握ったのだろう。
空手家のカードに替えた時、
性格まで豹変したが
このケアカードには
性格をコントロールしたり
蓄積した記憶が入っているようだ。
ポータルの中で
ベイマックスは消滅してしまった。
新しくヒロがベイマックスを作っても
それは抜け殻のようなもの。
このカードがあることで
入れ物は別でも、
同じ心と記憶を持ったベイマックスを
復活させることができたのだ。
Q,展示会場に火をつけたのは誰?
3つの可能性が考えられる。
①キャラハン教授が放火した。
②アリステア・クレイが放火した。
③事故で出火した。
キャラハン教授は
生き延びた場面を説明する時、
「君のマイクロボットがあった」と言っている。
そして、
火が迫って来て危ない場面で
マイクロボットが身体を包んで
助かる様子が回想で流れる。
もし自分で放火したなら
もうとっくに
脱出していなければおかしい。
こんなギリギリまで居る必要が無い。
それにここは
優位に立てる場面なのだから
「放火して君のマイクロボットを
奪ってやったのだ!」と
自慢げに言うべき。
しかしこの言い方を見ると
キャラハンが故意に
放火したとは考えられない。
娘を想う姿を見ても
彼は根っからの悪人ではない。
よって①は無し。
クレイはどうか?
こいつは野心家で
マイクロボットを狙っていたが
会場に残ってはいないはずだ。
忙しい身分だし
アリバイを確保できていないと
行動に移せない。
ヒロや他の人の目の前で
マイクロボットを
1個ネコババしようとしたのを
見られているので
自分が疑われるような危険を冒すほど
馬鹿ではないだろう。
それに肝心のマイクロボットを
盗んでいないので
放火しても意味がない。
よって②も違う。
ということで③の
事故説が有力です。
会場内に出火しそうな発明は
見当たらなかったが
電気配線がショートしたりして
出火したのだと思われる。
なにより新しい発明の発表会だし
不完全な試作品もあったはず。
それが不具合で爆発などして
火が燃え移った事故と
見たほうが正しいだろう。
Q,キャラハンの死体が残っていないのに
死亡を誰が確認したのか?
通常は失踪扱いになり
約1年後に死亡と認定されますが
逃げた客の状況説明から
死体は無いが
中に残っていたのは確実なので
推測で死亡と判断された模様。
サンフランソウキョウという
架空の町が舞台なので、
法律が違っても文句は言えない。
ヒロがマイクロボットが「焼けた」と
思い込んでいるので
死体も消えてしまうぐらい
粉々に大爆発した
事故だった可能性もある。
Q,キャラハンが負けた理由が
よくわからない。
あれはマイクロボットを
バラバラにして
ポータルの中に吸い込ませて
数を減らしてしまい、
あわよくば引きあう習性を利用して
ポータルに吸い込ませようと計画していた。
結果的にとどめの一撃時に
数が足らなくなり
一瞬の隙をつかれて逆転負け。
Q,兄タダシがベイマックスに託した
「使命」とは何か?
パッケージ裏に書いてあるこの言葉、
その答えは……
「人を助けること」だ。
タダシがベイマックスを作ったのは
誰かを傷つけるためではない。
人の役に立つため。
健康を守るため。
幸せにするため。
たくさんの人を助けるために。
ヒーローとなって
町を守ることは兄の望んだこととは
ちょっと違うが
「人を助ける」ことに変わりはない。
●スーパーヒーローもの
一見子供向けの
ほのぼのストーリーかと思いきや
特撮ヒーローみたいな
バトルアクションものだったことが
一番の驚きではないだろうか。
俺もまさかこんな
激しくバトルする物語だとは
想像していなかった。
ロボットとの出会いと別れを描き、
泣かせるところは
きっちり泣かせてくれる。
そのうえハッピーエンドなのが嬉しい。
子供より大人の方が楽しめる
素晴らしい映画でした。