Quantcast
Channel: 裏旋の超絶☆塩レビュー
Viewing all articles
Browse latest Browse all 997

【ネタバレ注意】映画『ユージュアル・サスペクツ』のどんでん返しを語る。

$
0
0

「見破りますか?だまされますか?」

 

どんでん返しのある映画として

必ず名前のあがるのが

この映画です。

 

『ユージュアル・サスペクツ』

(1995年)アメリカ作品

 

 

言わずと知れた名作サスペンス。

 

俺がこれを最初に見た時は

ずいぶん前なのですが

ラストのオチの意味はわかったが

あまり納得のいく騙された感がなかった。

ビックリしたというより

かっこいいな、という印象。

 

今回はその意味を知るために

じっくり観賞してみた。

そうか……これは

壮大な○○ネタと

いうことだったのかと

やっと理解できるようになった。

どこまでを許容するかで

人によって評価が変わると思う。

う~ん、難しい映画だ。

 

ラスト10分前まで

普通のギャング映画なので

一体何が面白いのか

よくわからなくて

だるく感じてしまうかも。

 

ちなみに

ナインティナインの岡村さんが

「カイザー・ソゼやないか」みたいな

つっこみを入れることがあり

マニアックすぎて笑ってしまう。

ソゼを引き合いに出すほど

この作品が好きなんでしょうね。

 

 

<あらすじ>

 コカインの取引現場を何者かが襲撃し、密輸船が爆破して大量のコカインと9100万ドルが消えた。警察は唯一の生存者ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)の尋問を始める。キントは、事件の黒幕は誰も顔を知らない大物ギャング、カイザー・ソゼだと語り、彼がディーン・キートン(ガブリエル・バーン)ら5人のワルを集めて襲撃させたというが…。

 

<スタッフ>

製作総指揮 ハンス・ブロックマン

監督・製作 ブライアン・シンガー

製作 マイケル・マクドネル

脚本 クリストファー・マッカリー

撮影 ニュートン・トーマス・サイジェル

音楽・編集 ジョン・オットマン

 

<キャスト>

ケヴィン・スペイシー(ヴァーバル・キント)

ガブリエル・バーン(ディーン・キートン)

スティーヴン・ボールドウィン(マイケル・マクマナス)

ベニチオ・デル・トロ(フレッド・フェンスター)

ケヴィン・ポラック(トッド・ホックニー)

チャズ・パルミンテリ(デヴィット・クイヤン)

ピート・ポスルスウェイト(コバヤシ)

スージー・エイミス(イーディ・フィネラン)

 

★★★★☆ 犯人の意外性

★★☆☆☆ 犯行トリック

★★★☆☆ 物語の面白さ

★★★☆☆ 伏線の巧妙さ

★★★★★ どんでん返し

 

笑える度 -

ホラー度 -

エッチ度 -

泣ける度 -

 

総合評価(10点満点)

 7.5点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------------------------------

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ結末

 

○被害者 ---●犯人 ---動機【凶器】

フレッド・フェンスター ---●カイザー・ソゼ ---口封じ【射殺】

トッド・ホックニー ---●ギャング ---闘争【射殺】

マイケル・マクマナス ---●ギャング ---闘争【刺殺】

ディーン・キートン ---●カイザー・ソゼ ---口封じ【射殺】

イーディ・フィネラン ---●カイザー・ソゼまたはコバヤシ ---口封じ【不明】

 

結末

キートンはカイザー・ソゼに

殺されたと語るキント。

だがクイヤン捜査官は

それはキートンの計画した罠で

キートンこそが

カイザー・ソゼだと見抜いた。

 

真実を知ったことで

命を狙われる危険のあるキントだが

警察の護衛を断り

一人で警察署を出る。

その時

クイヤンは壁の掲示物を見て

コーヒーカップを落としてしまう。

そこにはキントが語った

言葉がいくつも並んでおり

キントの話は

とっさにでっちあげた

作り話だとわかったのだ。

 

あわてて後を追うが

すでにキントの姿は無かった……。

奴こそカイザー・ソゼ。

そして煙のように、消えた。

 

どんでん返し

 

最大のどんでん返しは

ヴァーバル・キント(ケヴィン・スペイシー)が

伝説のギャング、

カイザー・ソゼだったこと。

 

クイヤンの推理で

キートンがカイザー・ソゼだと

視聴者が納得したあと、

一仕事終わってくつろぐクイヤンが

壁の掲示物を見て唖然とする。

音もなく落下するコーヒーカップ。

そして今までの怪しい会話が

フラッシュバックして

「まさか!」と震える。

 

生き残った男の証言をもとに描かれた

カイザー・ソゼの似顔絵は

まぎれもなくヴァーバル・キントだった。

そのキントは

左足を引きずりながら歩いていたが

急に左手足の麻痺が解け、

何事もなかったように

左手でライターを点けて煙草を吸う。

(ここがかっこいい)

そして「コバヤシ」の運転する車で

颯爽と去っていくのだ。

 

いや~、

ものすごい名演技でした。

でも正直、

ケヴィン・スペイシーが

アカデミー賞助演男優賞を獲っているので

こいつが怪しいのはバレバレなんですよね。

 

このタイプの騙し方は

ミステリー小説でいう

「信頼できない語り手」です。

語り手が犯人なのに

作り話をいかにも本当のように語り

読者や視聴者を欺くという手法。

『ユージュアル・サスペクツ』は

その典型的なパターンと言えます。

 

水色はミスリード紫は伏線です。

 

どんでん返しの前に

クイヤンの推理でミスリードするため

キートンに疑いの目が

向くようにしている。

 

クイヤンがカイザー・ソゼは

キートンだと騙されてしまったのは

彼が元警官で

あくどいことをやってきたことを

知っているために

今更足を洗って更生しないと

信じ込んでいるのが大きい。

 

彼が愛した女性弁護士の

イーディが死んでいるのも

妻と子供すら犠牲にする

非情なソゼらしいやり方だと思わせている。

(これはソゼが

キートンに疑いを向けるために

殺したものと思われる)

 

キートンが撃たれた場面は音だけ。

引きのアングルになり

生きているか死んだのかわからない。

 

そして

キントとの違いを出して

カイザー・ソゼではないことを

ミスリードする。

 

左手の麻痺した

キントから目を反らすため

カイザー・ソゼは左利き。

キントは右手を使う時

慣れないのか

物を落としたりしている。

実は両利きといっていいくらい

キントは右手も使えます。

右手で銃も撃てる。

わざと下手に見せて

ヒントを与えているのでしょうか。

 

⑤この銃を横に構える撃ち方

実はホックニーもやっているが

これはあからさまなミスリード。

 

ソゼは左腕に「金の時計」をしている。

キントは右手に銀の時計。

実はキートンも右腕に時計をしている。

右腕に時計をしているから

左利きというわけではありません。

一般的には利き腕に関係なく

左腕に時計をする人が多いです。

それはリューズが巻きやすいから。

 

キントは左腕が動かない

(ことになっている)からで、

左腕麻痺の人は右腕に巻くのが普通。

キートンは右手で

銃を撃っているので右利き。

ではなぜ右腕に巻くのか?

利き腕に時計を巻くのは

ソゼと同じ習慣だと

疑わしく思わせるためだと思う。

 

キントの話の中に出てくる

カイザー・ソゼは「左利き」ということが

かなり強調されている。

左側が麻痺したキントは

「右利き」なので

2人を結び付けることは難しい。

 

保釈される場面で

「金の腕時計」と「金のライター」が

出たところで鋭い方なら

クイヤンより先に気付くだろう。

 

 

それでは

キントがカイザー・ソゼであるという

手掛かりはあったのだろうか?

 

①キントは尋問を受ける前、

部屋の中をやたらと見まわしています。

 →この時に使えそうなワードを

 記憶していた。

 そして「イリノイ州でカルテット」や

 「FBIになりたかった」話や

 「グァテマラのコーヒー園」の話をする。

 

掲示板自体がはっきり見えないので

言葉を利用した伏線自体は説得力が弱い。

②ただし、「コバヤシ」はコーヒーカップを

はっきり見つめている。

 →このカップの底に「KOBAYASHI」と

 書いてあったんですね。

 伏線としては

 ここが一番上手い。

 ネタバラシの前に

 カップの底が視聴者に見えていたら

 さらに良かったが……

 

なかなか口を割らないキントに

クイヤンが掴みかかろうとした時、

咄嗟に左手で払っている。

 →麻痺しているはずの左手で

 思わず払ってしまったが

 スローで見ないと片手だと気付かない。

 身体をゆすってほどいたように見える。

 

キントが

カイザー・ソゼの名前を聞いた時、

「何者だ?」という反応だったが、

クイヤンにソゼの昔話を語るなど

やけに詳しい。

 →妻と子供を殺したという

 トルコの昔話をして

 キートンへ嫌疑をかける作戦。

 この昔話は嘘か本当かわからないが

 自分で言うなら多分事実だろう。

 そんなところで見栄を張る奴ではないし。

 

キートンがカイザー・ソゼを見たあと、

「足に感覚が無いよ」と笑う。

 →銃で撃たれて

 本当に立てなくなったため、

 足の麻痺した(ふりをした)

 キントへの皮肉。

 「まさかお前だったとは」

 という気持ちだったのだろう。

 

その他細かい事で言うと

キントだけ逮捕されるシーンが無い。

 →逮捕シーンを入れても

 嘘の回想でしたで済む話なので

 どちらでも良かったのだろうが

 「一人だけ無い」ことは意味深だ。

 

トルコ語の「söz」(ソズ)は「言葉」の意味。

「söze 」(ソゼ)単体だと「言葉へ」

「söze boğmak」(ソゼ・ポーマック)だと

「よくしゃべる」「おしゃべり」なこと。

「おしゃべり」は英語で「verbal」(ヴァーバル)

つまり、

ヴァーバル=ソゼ。

彼自身の過去を語る場面で

トルコ人だとヒントを出していた。

 

尋問の最初で意味ありげに

シガーケースが映るが

あれはトルコ製のシガーケース。

 →ここにもトルコが関係している。

 

よくある疑問。

 

Q、どこまでが真実で

どこからが嘘なの?

 

この作品の一番難しい問題は

キントの話のどこまでが真実で

どこまでが嘘なのか

全くわからないという点にある。

 

判明している事実は

①面通しで5人が出会ったこと。

②タクシーサービスが襲われた事件。

③宝石商が襲われた事件。

④麻薬密輸船が炎上した事件。

⑤キント以外の4人が生死不明。

イーディとマルケスの死亡。

⑥アーカッシュ・コバッシュに

姿を見られたこと。

⑦ソゼの右腕として

動く男(コバヤシ)がいること。

 

その過程を

キントが体験談のように語るが

その中で出てくる固有名詞を

例えば「コバヤシ」や

「グァテマラ」「イリノイでカルテット」など

その場にあった言葉を入れて

事実を脚色しただけなら

ただ話を膨らませただけなので

評価は低くなってしまう。

真実=90%

虚構=10%

ではないかと思ったのだ。

 

ところが観直してみると

逆にキントの話は

ほぼ全てが作り話じゃないかと

思えるようになった。

事件の結果だけ変えずに

あとの全ての話を

即席ででっちあげたとしたら?

 

面通しで出会った5人は

その後も本当に一緒に

行動していたのか不明。

死体も確認できていない。

汚職刑事や宝石商を襲ったのは

本当に5人なのか不明。

レッドフットなんて居なかったし

弁護士のコバヤシも存在しない。

(最後に登場する人物は

コバヤシという名前ではない)

ヴァーバル・キントも

計画の為に作り込んだ

架空の人物ではないか?

船に乗り込んだ話は

ほとんど嘘だらけ。

だとしたら……この数分間

我々は何を見せられていたのか?

 

俺はあの一瞬でキントが

それらしい話を作って

キートンに罪を着せ、

クイヤン(と視聴者)を

騙したのだと思いたい。

つまり

真実=10%

虚構=90%くらいの割合。

 

妄想オチなら

壮大でないと面白くない。

 

Q,離れたところに浮かんでいる死体は誰?

 

船の場所からかなり離れたところに

死体が浮かんでいます。

これはソゼのことを恐れている外国人。

アルトゥーロ・マルケスという

アルゼンチンの麻薬業者で

カイザー・ソゼのことを

警察に話したので消された。

 

Q,全身火傷の男は何者?

 

「カイザー・ソゼ!」と叫び、

似顔絵の元になった証言をした

大火傷の男は

アーカッシュ・コバッシュという名前。

何を運んでいたのかも知らない

船に乗っていた下っ端。

 

Q,コバヤシを殺そうとした時、

なぜイーディが

あのビルに居たのか?

 

マルケスを本国に強制送還する手続きを

任されたのがイーディ弁護士だった。

この人選は作為的で

キートンたちが

コバヤシの命を狙っていることを

キント(カイザー・ソゼ)が教えて

人質のために連れて来た。

 

しかし結果的に

マルケスを逃がしてしまい

ソゼの手で消されることになる。

 

Q,船でキートンが撃たれるシーンで

キントがロープの物陰に隠れたのは事実?

 

あのシーン自体が

自分の犯行を隠す作り話なので

実際にあそこに隠れたりは

していないでしょう。

 

むしろあそこに隠れたとすれば

コバッシュではないか?

あそこからカイザー・ソゼを見て

顔がわかるかどうか微妙なところですが。

 

Q,冒頭のカイザー・ソゼの声が

ケヴィン・スペイシーで、

吹き替えでも

同じ黒沢氏が声を当てているので

声で正体がバレてしまうんじゃない?

 

実は同じこと思いました。

カイザー・ソゼの声は

少し変えてあるんですが、

最初だったので

あまり記憶に残らない。

2回目に見ると同じ人物だと

はっきりわかるので悔しさ倍増。

 

Q,この後、

カイザー・ソゼはどうなったのか?

 

顔を知られた以上は

表舞台に出て来れないのでは?

あのハンガリー人が生きていたのは

失敗だったのか?

それとも意図して生かしておいたのか?

 

俺の予想ではおそらく

全く別人の顔と姿になって

登場するのではないかと思う。

だから顔を知られても

クイヤンにバレても問題ない。

むしろそのほうが伝説を残せる。

彼はミスなど犯していなかった。

トルコで家を襲撃された時も

一人生かして噂を広めて殺し、

今回もまた一人生かして後で殺す。

全ては計算通り。

この計画の最後に

ヴァーバル・キントも消すのだ。

 

煙のように消えて

また現れる謎の男。

絶対に捕まらない自信がある。

それが、カイザー・ソゼだ。

 


Viewing all articles
Browse latest Browse all 997

Trending Articles