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【ネタバレ注意】刑事コロンボ『第11話・悪の温室』の感想・伏線解説・考察

 

刑事コロンボ

#11『悪の温室』

[THE GREENHOUSE JUNGLE]

(1972年10月15日放送)アメリカ

(1973年5月27日放送)日本

 

 

 

<あらすじ>

ジャービス・グッドイン(レイ・ミランド)は甥のトニー(ブラッドフォード・ディルマン)から信託財産に手をつけたいと相談を受け、狂言誘拐を発案する。トニーの妻キャシー(サンドラ・スミス)に脅迫状を送れば、緊急事態として現金を引き出せるのだ。やがて警察も活動を開始する中、計画は成功。しかし、身代金を前にはしゃぐ甥をジャービスは無表情に射殺した。実はトニーの殺害こそが彼の本当の計画だったのだ。

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<スタッフ>

監督 ボリス・セイガル

脚本 ジョナサン・ラティマー

制作 ディーン・ハーグローヴ

ストーリー監修 ジャック・ギリス

音楽 オリヴァー・ネルソン

撮影 ハリー・ウォルフ

編集 サム・E・ワックスマン

 

<キャスト>

ピーター・フォーク(コロンボ)ロサンゼルス市警警部

レイ・ミランド(ジャービス・グッドイン※原文はグッドランド)蘭の収集家

ブラッドフォード・ディルマン(トニー)その甥

サンドラ・スミス(キャシー)その妻

アーレン・マーテル(グロリア・ウエスト)トニーの女友達

ウィリアム・スミス(ケン・ニコルズ)キャシーの愛人

ボブ・ディシー(フレデリック・ウィルソン)刑事

ロバート・カーネス(グローバー)刑事

 

感想

コロンボが対決する今回の犯人は

蘭の愛好家ジャービス。

信託扱いで手が出せない父親の遺産を

なんとか引き出したい甥の相談を受け

偽装誘拐に協力するふりをして

その最後に甥を始末し

身代金を自分の物にする計画だ。

コロンボが殺人の前に初めて登場し

しかも殺人が36分57秒と

かなり遅めになっている。

 

被害者のトニーの吹替えの声が

ルパン三世でお馴染みの

山田康雄さんだと後で気づいた。

ルパンっぽさが無くて全然わからなかった。

 

音楽をジャズ界の大物

オリヴァー・ネルソンが担当していて

身代金の受け渡しに向かうシーンの

BGMが良くて印象に残る。

 

今回コロンボの助手として

ハリキリボーイの

ウィルソン刑事が登場。

『古畑任三郎』でいう

西園寺くんみたいな役回りです。

最新の捜査方法を

コロンボに教えるために

上司がよこしたとか。

昔ながらの足跡を石膏でとるより

今は三次元写真、

暗視用のスターライト・スコープや

金属探知機で活躍する。

 

彼に「近道です」と言われて

坂道を降りようとして止まれず

ダイナミックに転がり落ちるコロンボや

ビリヤードをする姿も見れます。

 

あとキャシーの胸元がやけに

ゆるいのが少し気になった。

この奥さん堂々と浮気していて

旦那が大変な時にも

愛人とドライブに行ってたと聞いて

ちょっと腹が立った。

コロンボもムカついたのか

これは聞いた話なんですがねと言いつつ

奥さんと愛人が一緒の場面で

トニーが妻の愛人に手切れ金で

5万ドル強請られていたことを話し

2人を仲違いさせたのはスッキリした。

 

全体的に間延びした事件だったが

事件を解決した「決め手」が

綺麗に伏線回収して

ぐうの音も出ない完璧なものだったので

俺の評価は上がりました。

 

☆☆☆☆☆ 犯人の意外性

★★☆☆☆ 犯行トリック

★★★☆☆ 物語の面白さ

★★★★☆ 伏線の巧妙さ

★★★☆☆ どんでん返し

 

笑える度 -

ホラー度 -

エッチ度 -

泣ける度 -

 

評価(10点満点)

 7.5点

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※ここからネタバレあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1分でわかるネタバレ

○被害者 ---●犯人 -----動機【凶器】

トニー・グッドイン ---●ジャービス・グッドイン ---金銭欲【射殺:銃(32口径)】

 

<結末>

誘拐されたトニーが死体で発見され

被害者の体内から

32口径の弾丸が見つかり

32口径の銃を所有する

ジャービスに疑惑が向く。

 

ジャービスは嫌疑をそらすため

犯行に使った自分の銃を

キャシーの銃とすり替える。

警察に家を捜査させて

銃が見つかったので

キャシーが連行されるが

コロンボはそれを止めて

ジャービスの温室に全員を集めた。

 

鑑識が弾丸を調べた結果

車の弾丸と

被害者の体内の弾丸は

今キャシーの家で見つかった銃から

発射されたものと確定した。

しかしここにもう一つ弾丸が有り

それも同じ銃から発射されている。

 

それは

ジャービスの温室から発見された

ジャービスが撃った弾丸だった。

つまり今見つかった銃は

ジャービスの銃だということになり

彼が犯人であることを示している。

ジャービスは無言で負けを認め

逮捕されるのだった。

 

トリック解説

ジャービスの使った「犯行トリック」

被害者と一緒に狂言誘拐を行い

その最後に被害者を殺すというもの。

 

まずは12時53分、

ジャービスが声を変えて

トニーの妻キャシーに電話。

「お前の旦那が面倒を起こした。金を払えばそれでよし、でなければまた連絡する」

 

その後

ジャービスとトニーが

それぞれの車で山へ行き、

トニーのスポーツカーの

電子時計を12時18分に戻し

車の窓ガラスに発砲して

誘拐犯に襲われたように偽装。

車を谷に落下させる。

 

トニーは隠れ家に身を潜める。

翌日、トニーから

妻の元に手紙が届き

誘拐犯に拉致されたこと、

30万ドルを用意して

今夜の電話を待つように指示。

転落した車の身元を警察が調べ

誘拐のことを知り密かに捜査する。

 

身代金を捻出するため

信託銀行から金を引き出し

(これが目的)

手紙の指定に従って

ガソリンスタンドの電話を経由して

山の上までジャービスが身代金を運ぶ。

 

そこで覆面のトニーが

犯人役で現れて金を奪い

山に逃げたように見せかけて迂回し

ジャービスの車のトランクに隠れて

隠れ家に戻る。

そこでジャービスが裏切って

トニーを射殺する、という流れ。

 

ちなみに偽装誘拐は

ジャービスが提案した計画。

トニーは妻のキャシーを愛しており

妻の浮気相手ケンが

手切れ金を要求してきたので

5万ドルが必要だった。

女友達グロリアはただの話し相手で

トニーにその気は無さそう。

 

ジャービスの動機は金銭欲。

甥のことなどどうでもよくて

蘭の栽培に金がかかるため

単純にお金が欲しかった。

 


 

今回コロンボの仕掛けた

「逆トリック」

ジャービスの温室に

関係者を集めて行われた。

 

事件を解決したのは

「第三の銃弾」

 

32口径の銃は2丁あって

1丁はジャービス、

もう1丁はキャシーが持っている。

犯行に使われたのはジャービスの銃で

車のシートに残っていた第一の弾丸、

被害者の体内から第二の弾丸が出た。

 

ジャービスはキャシーに罪を着せるため

夜中に銃をすり替えて

キャシーを逮捕させることに成功するが

連行中にコロンボの命令で

ジャービスの温室に集められた。

 

コロンボが弾丸の鑑識結果を読み上げる。

車から発見された弾丸も

被害者を殺した弾丸も

キャシーの家で

発見された銃から発射されている。

そしてもう1つ。

“この弾丸”も同じ銃から発射されている。

この弾丸が何かおわかりですか?

そうジャービスに問いかけた。

 

ジャービスはもちろん心当たりがあった。

この温室に強盗が入った時

ジャービスが撃ったが外れて

土に埋まった弾丸だ。

コロンボが温室にいたのは

この弾丸を発見するためだった。

ジャービスから笑顔が消える。

 

この「第三の銃弾」は

ジャービスが撃ったことが確定している。

ということは

同じ銃から撃たれた2発の弾丸も

ジャービスの銃ということになる。

ではなぜこの銃が

キャシーの家にあったのか?

ここで2つの可能性が生まれる。

①キャシーがジャービスの銃を盗んだか

②ジャービスがキャシーの銃とすり替えたか。

 

前者はキャシーが犯人になるが

銃をジャービスの温室に戻さず

自分が持っている意味が無い。

さらに自分の銃を

いつの間にかジャービスが

鑑定に出しているのもおかしくなる。

 

ジャービスがキャシーの家の銃を

自分の銃として鑑定に出した

=犯行の銃では無いことを知っている

=犯人というロジックが成立します。

よって後者しかなく

犯人はジャービスに確定した。

 

完全に詰み盤面なので

ジャービスは一言も

弁明することなく逮捕されていった。

お疲れ様です!

 


 

犯人がミスをしたり

探偵が気づくきっかけになった

「発覚トリック」を紹介していきます。

 

①まずコロンボが疑問に思ったのが

夫の車が谷に落ちていて

窓ガラスに弾痕があり

夫が消息不明という情報を

妻と叔父に知らせた時に、

2人とも落ち着いていて

表情一つ変えなかったこと。

2人は事件のことを知っていて何か秘密があるとコロンボは読み、妻が「トニーから手紙が来た」と言うと即座に「身代金いくら要求して来ました?」と返した。自分が門前払いくらいそうになったことから、手紙に警察に話すなと書いてあったと推理し、これは誘拐事件だと判断した。

 

②甥のトニーが誘拐されて

大変な状況なのに

ジャービスがまっすぐ銀行に行かず

温室に寄っていたことに

コロンボが不信感を持つ。

ジャービスは甥に全く好意を持っていないとコロンボに説明。「悪妻の尻に敷かれた人間のクズ」とまで言い放った。しかし自分がこっそり尾行されていたことがわかったので、ジャービスも少し焦って早めにラインを切ろうとしている。うかつにトニーに連絡とれなくなった。

 

③発見された車は

ライトもイグニッションもオフ、

ギアはニュートラルだった。

したがって運転中に

誤って落下したわけではなく

犯人が車を押して落下させている。

死んだと思わせる意図が無いのなら、車を谷に落とさなくてもいいはず。「車を大破させたのは手紙を信じさせるための脅しだろう。あの奥さんは疑い深い女だからな」とジャービスは犯人目線の発言をする。するとコロンボに「ホシ(犯人)がなぜそれを知ってたか。おかしい」と逆に怪しまれる。わざわざ車を大破させたのが奥さんを信じこませるための作戦なら、犯人は奥さんをよく知っていたことになってしまうからだ。

 

④トニーが誘拐された現場には

スポーツカーと大型車の

2つのタイヤの痕があるが、

トニーの乗るスポーツカーに

犯人の大型車では追いつけないはず。

銃を撃たれて車を止められたとしても

角度的にトニーが撃たれていないと

おかしいが血痕も無かった。

コロンボは偽装誘拐を疑っている。銃が撃ち込まれた時にトニーが運転席にいなかったのは、大型車の犯人と協力してるからだろうという推理。

 

⑤ジャービスが

トニーを誘拐した犯人と同じ

32口径の銃を持っていること。

以前、温室に泥棒が侵入した時に

ジャービスが発砲した記録が残っていた。

コロンボは偶然に過去の事件の記録を見たと言っているが、完全にロックオンされている。ここの伏線は次の伏線解説で取り上げます。

 

⑥ウィルソン刑事の

スターライト・スコープという

暗闇で使えるカメラで

身代金受け取り現場の写真を撮られ

ストッキングを被ったトニーが映っていた。

そして誘拐犯はなぜか

見通しの良い丘で受け渡しを指定し

身代金を運ぶ人物を妻ではなく

ジャービスにしたことに

コロンボが疑いの目を向けてくる。

受け渡しの現場は警察に見せたかったが、ここまで高精細に暗闇の中で写真を撮られたのは失敗。ジャービスが受け渡しに行かないと計画が狂うことをコロンボは知っててわざと質問している。ジャービスは「彼女が金を運ぶと持ち逃げする恐れがあるからだ」と犯人目線で言ってしまい、コロンボに「なぜそれを?」とあやしまれる。2回も同じやりとり。

 

⑦トニーの友人グロリアから

3日前に酔ったトニーと話をした時、

妻の浮気相手の男が

手切れ金で5万ドル要求して来て

なんとか金の算段がついたという

話をしたことがわかる。

トニーに臨時収入があるとすれば、それは誘拐による信託財産から引き出した金しかない。つまり誘拐事件はトニーが計画したものということになる。

 

⑧キャシーが疑われ

家の中を警察が捜索するところに

ジャービスがやって来る。

身代金を入れたカバンに

よく似たカバンがあることを

刑事に詰められるが

ジャービスがキャシーを庇う。

「身代金を入れたカバンに似ているが断定ではない。よくあるカバンだ」

「しかしあらゆる点で一致します」

「拳銃はどうしたんだ?」

すかさずキャシーがつっこむ。

「知ってるの?」

決定的な証拠である銃を早く探して欲しい気持ちが出過ぎ。警察が何を探しているのかまだ言ってないのに、銃のことを言ったらあかん。

※この場面、吹替えは「拳銃はどうしたんだ?」だが、原文は「Nevertheless, we must be sure.(私たちは確認しなければならない)」で、銃のことは全く触れていない。


⑨事件の決め手、

「第三の銃弾」

去年、温室に強盗が入って

その時に撃った弾丸が見つかる。

犯行の銃と一致して

ジャービスは言い逃れできなくなる。

「逆トリック」のところで説明したとおり。銃には「ライフルマーク」という銃を発射した際に弾丸に残る傷があるんです。銃の指紋みたいなものですね。

 

 

伏線解説(★は巧妙なもの)

【引き出しの中の銃】

冒頭の脅迫電話の後で

起きたキャシーが引き出しを開けて

電話帳を探す場面で

引き出しの中に銃が入っている。

  • この引き出しの中に後に重要になる銃がありますよと視聴者に見せている。伏線というより前ふり。

 

★②【ジャービスの32口径の弾丸】

最も上手い伏線はやはり

ジャービスの32口径の弾丸。

まずコロンボは車の窓ガラスに

銃弾が撃ち込まれたと話し

それが32口径だったとジャービスに教える。

次にコロンボは

「あなたもお持ちですね。32口径の銃を」

そう言って去年の事件記録を取り出す。

「何者かが侵入し、あなたは威嚇射撃をした」

「君はたいした男だよ。見え透いてるがね。たまたま記録を見たって?忘れていたよ。撃ったが外れて土に当たった。私も怖くてね」と、ジャービスが答える。

「ええ、ガラスや花を守るには低く狙うのは当然です」

  • この会話を聞いて、撃った弾丸が温室にまだ残っていることに気づく人はほぼいないだろう。それは32口径の弾丸が重要になってくるのがもっと後だし、この話を深掘りせず、視聴者の目線を他にそらしているものが多いからだ。例えば、コロンボがジャービスを疑っている空気を出したり、大量の紙をめくってどれか探してイライラさせたり、温室とサンルームを言い直したり、ジャービスが銃の不法所持のことかと話をそらし、コロンボが突然ビリヤードを始める。情報量が多すぎてこの一連の流れで何が大事だったのか注意して見ていないと忘れてしまうのだ。

 

【金属探知機】

事件解決の決め手

ジャービスの温室から

32口径の弾を探すために

コロンボは金属探知機を使用する。

  • 今回、コロンボの捜査にウィルソン刑事という補佐がついたのは、この金属探知機を自然に使う理由付けだったような気がします。昔ながらの捜査のコロンボと最新の捜査方法のウィルソンの対比も面白いんですが、最後に相手を受け入れて、それが解決に一役買うのがまた良い。

 

欠点や疑問など

  • ジャービスがハンカチで声を変えて脅迫の電話をかけたが、寝起きとはいえキャシーが騙されると思えない。
  • 覆面……というよりストッキング被ってるだけなので、近くで見られたらトニーだとすぐバレる。もっとちゃんと顔を隠しなさいよ。
  • 字幕も本文も「グッドランド」だが、なぜか吹替えは「グッドイン」になっている。コロンボが持って来た花「アフリカバイオレット」とは「セントポーリア」のこと。
  • 用意した身代金、足がつかないようにすることは可能なの?印のついていない札を要求して来たが犯人側からは判別できないから番号を控えていると思うが。
  • 身代金受け渡しの時、トニーの足跡をたどれば再び道路に出て消えているので車に乗ったことがわかる。ジャービスは疑われないのか?トランクにトニーの指紋とかついてそう。山道の泥がついてそう。
  • 銃のことでやって来たグロリアをジャービスは口封じに殺しそうだったが、それはさすがに計画性がなさ過ぎるのでは?キャシーの部屋に忍び込んだ時も銃を構えていたが、もしも起きてきたら撃ったのか?

 

名場面・名台詞

夫トニーが誘拐されたことを

妻のキャシーに報告するコロンボ。

しかしキャシーの側には

仲の良さげな男がついていて

なにやら不穏な雰囲気。

キャシー「刑事さん。どうお思いか知りませんが、私トニーの無事のためなら何でもします。今までの私たちの仲がどうだったろうとそんなことはこの際関係ありません。ごきげんよう!」

 

ジャービスが甥の一大事にも関わらず

銀行に行くより自分の蘭の方を

大事にしていることを

コロンボに指摘されて……。

ジャービス「それじゃあ言うが、私にとってあの甥は水ゴケほどの価値も無いのだ。悪妻の尻に敷かれた駄目な奴で人間のクズだ。もし私のただ1人の身内でなかったならば、好きなように始末しろと犯人に言うところだ」

 

コロンボから

車は故意に谷に落とされた。

なぜ車を?と疑問におもうコロンボに

ジャービスは犯人目線で答えてしまう。

ジャービス「それは手紙を信じさせるための脅しだろう。なにしろちょっとやそっとのことでは信じない女だからな」

コロンボ「ああ、ホシがなぜそれを知ってたか。おかしい。それにタイヤの痕がねぇ……どうも、あれが、腑に落ち……え?そいつ何です?」

 

 そばにあった花に興味を持つコロンボ。

 

ジャービス「それはブラジル産の2色のカトレアの球根だよ」

コロンボ「2色の?ほんとですか?」

ジャービス「タイヤの痕とは?」

コロンボ「は?」

ジャービス「タイヤの痕!」

 

ジャービスの温室に

関係者を集めたコロンボ。

待っていた鑑定の結果が届き

なぜここに呼んだのか説明をする。

コロンボ「この弾ですがね、これは車にあったもんです。32口径。凶器から発射された弾と断定されました。こいつは死体にあったもの。やはり32口径。鑑識の検査によれば最初の弾と同じ拳銃から発射されてます」

ジャービス「そんなことはわかってる。話してやりたまえ」

ウィルソン「2発ともさっき彼女の邸内から発見された拳銃のもので、鑑識でもそれが凶器であると断定されたものです」

コロンボ「そう。その通りなんだ。フレディ、気を悪くしないでくれよ。君のおかげで閃いたんだからね。君はその、科学捜査に強いからね。あたし金属探知機を初めて使ってみたよ。新米なんで手間取ったが。しかし、やっぱり役に立つね、たいしたもんだ」

 

 コロンボが今さっき鑑識から受け取った“ある物”を取り出す。

 

コロンボ「何だと思います?」

ジャービス「わからんな」

コロンボ「第3の弾。やはり32口径。そしてやはり鑑識の検査で、先の2発と同じ拳銃から発射されたと断定されたもんです。ジャービスさん、あんたこれをどう説明するおつもりですか?」

ジャービス「なぜ私がそんな……」

 

 そこでコロンボの持っている第3の弾の意味に気づいて表情が変わるジャービス。

 

コロンボ「そうなんです。さっきまでここで弾探しやってたんですよ。3発目を見つけました。この苗床の土の中からね。去年だかここに侵入した奴に向けて撃ったもので、土に命中したと言われましたなぁ。これはいったいどういうことなんでしょうね。土の中の弾を発射した拳銃が、なぜ今夜になって奥さんの家から出て来たのか?」

ジャービス「……」

コロンボ「フレディ、ジャービスさんを本部にお連れしろ」

 

 ジャービスを連行し、キャシーを送り届けようとして温室を出ようとするコロンボは、セントポーリアの花を忘れそうになっていてあわてて取りに戻る。

 

コロンボ「うちのカミさん、おっかなっくってねぇ」

 

好事家のためのトリックノート

1-B、意外な犯人トリック

●被害者が犯人②(裏に真犯人がいるもの)

【犯人が死ぬ】

犯人が仕掛けた偽装誘拐の最後で、共犯の真犯人に殺される。

 

8-A、発覚トリック「物理的手掛かりの機智」

●犯人の失敗

【昔、撃った威嚇射撃の弾丸】

犯行に使った32口径の銃を、同じ32口径の銃を持つ第三者の家に忍び込んでこっそりすり替えて罪を着せようとする。しかし犯人が去年、威嚇射撃で撃った弾が土の中から発見され、その弾が凶器の銃から発射されたと断定されたことで、銃の本当の持ち主が犯人だと判明してしまう。

 

9-A、特殊トリック

●強奪トリック

【偽装誘拐】

父の遺産が信託財産扱いになっていて緊急時しか引き出せないため、偽装誘拐を仕組んで身代金として30万ドル引き出す。

 

 

『刑事コロンボ』各話レビューまとめ


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