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【ネタバレ注意】『兇人邸の殺人』の追記

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『兇人邸の殺人』

今村昌弘

 

こちらの記事の追記です。

 

 

ここからネガティブな感想と

ミステリマニアのための解説です。

作者のファンやミステリーに

興味の無い方はお帰りください。

 

 

冒頭のモノローグは誰か?

冒頭「ある人物」が兇人邸を前にして

中に入ることをためらっている。

この日が来なければいい、

これから行うのは確認作業だと言っている。

この人物は「剛力京」だと思われるのだが

他の人の感想を見て

実は「裏井」としても読めることに気づいた。

 

「あの人はあそこで待っている」

「私にとってただ一人の、大切な家族が」

 

剛力も裏井も

すでに家族と呼べる人間がいない。

「あの人」と呼ぶ親しい仲なのも間違いない。

確かに共通していて

どちらに置き換えても読めそうだが……。

 

しかし次の3点から

この独白は「剛力京」であると考察できる。

①深夜という時間。……裏井たちが突入したのは午後11時。剛力はもっと後。

②人の気配が無い状況。……裏井は大勢で一斉に突入した。

③すでに死んでいることを恐れている。……ケイが巨人になったと知っているので簡単には死なない。

 

 

欠点や疑問など

  • 正直、ミステリーとして弱い。犯人が全滅させようと狙っているわけでもないし、犯人捜しをする必然性がない。
  • 傍点が多いのは読みにくいし、説明してあげてる感が強くてイラッとする。どんだけイラッとするか、“こういう感じ”です。
  • ゾンビの時も思ったが巨人が想像上の存在だけに、巨人の能力と「生き残り」の能力がどう違うのかわからない。それが犯行トリックに関わるとアンフェアに感じる。
  • それを強く感じたのが「年齢」で、裏井は登場時に葉村が「30代前半」と書いた。実際は55歳。25歳も若く見えているが、超人研究が若返る効果があるととても思えない。筋肉で脂肪を抑制して老化を防いでいるのならば、裏井はもっと筋肉質になっていないといけないはず。しかし登場時に、「細身の男」「肉付きが薄い」と書いてあり“記述に矛盾がみられる”。葉村がよろめいて裏井の腕に縋り付く場面があるのだが、その時に「筋肉すごっ」とは感じなかったのか?
  • 不木が裏井を見て生き残りだと気づいたが、40年も経っているのにそんなに面影があった?“不木の前で思わせぶりなセリフや行動をしていない”のによくわかったな。
  • 冒頭の葉村の推理問題がつまらなさすぎる。おそらく『九マイルは遠すぎる』のオマージュをやろうとしたようだが、ほとんどの人がもう内容を覚えていないだろう。身内ノリの推理なんて読者にわからない。
  • 登場人物表に裏井だけ下の名前が書いていないため、鋭い読者は下の名前が「ジョウジ、コウタ」のどちらかだと推理しやすい。
  • 不木の私室の金属扉を傷つけたのは裏井の偽装だったが、いくら力が強化されても金属扉に巨人並の傷をつけるのは無理があるのでは?
  • これはクローズサークルではない。物理的にいつでも逃げられるし、心理的に逃げられないというが朝の早い時間に跳ね橋を降ろせば10時間もあるので十分防御対策できる。紫外線に弱いならUVライトを用意すればいいし。できるということはクローズになっていないということ。できないのがクローズドサークル。結局最後は、跳ね橋を降ろして逃げているのだから本末転倒。今時、クローズドサークルは“キッズ”しか喜びません。
  • 屋敷の構造が複雑すぎて何度も見取り図を見るはめに。
  • 広間の機構(落とし格子)の操作パネルの鍵が通用口の鍵と一緒についていて、コーチマンが持って鐘楼に行ったから広間の落とし格子も開閉できないという説明が最初にあったきりでわかりにくい。P.269に落とし格子につかまる剛力が「鍵がないとダメみたいね」と言わせているがそれが操作パネルのことかもわかりにくい。
  • せめて不木の私室から外に出られるようにしろよ。もしも巨人が金属扉を破って入ったら逃げられない。屋敷の構造がおかしすぎる。
  • 雑賀が増改築できるなら“鉄格子を切るサンダー(ディスクグラインダー)”を持っていないのは不自然。じゃあどうやってコンクリートの壁を削るの?
  • 通用口って壊せないぐらい頑丈なの?不木の私室の金属扉を傷つけたり、マリアが隠れた雑賀の部屋の扉を吹き飛ばした男がいるのに、なぜ全力で通用口を開けようとしない?
  • 研究所の宿舎が中庭を入ってすぐが女子棟、奥が男子棟というのは普通逆では?男子は部屋に戻る時に毎回女子の側を通るんですか?10~13歳の男女がね。う~ん。
  • 比留子や葉村がスマホを没収されるのはまあわかる。が、成島やボスまでスマホを持っていないのは理由がわからない。「基地局のデータを残さないため」とのことだが、彼らならダミーのスマホはいくらでも作れて足がつかないようにできそう。
  • 不木が私室のモニターや電話機を壊す意味がわからない。金属扉に鍵を掛けて侵入者を殺す姿をニヤニヤ眺めればいいと思うのだが?自分も死ぬつもりだったのか?葉村たちが巨人の動きを読めなくするために“作者が都合良く壊した”ようにしか見えない。
  • 剛力が不木を殺した時、「彼の居場所」を訊ねたが興奮した不木は巨人に託した夢を饒舌に語ったとある。(P.178) そこで剛力はつい情報を引き出す前に殺してしまった。なのに「巨人が紫外線を嫌い、朝には別館に戻ることを聞き出した」と書いてある。はぁ!?“夢を託した巨人の弱点”を教えてどうすんだよ(笑)さすがにありえないだろ!むしろ「彼の居場所」の方が得意げに話しそうなのに?
  • 夜は危険だが昼間は安全、というのは緊張感が薄い。
  • 葉村が隠れた暖炉の煙突。外に繋がっていないと一酸化炭素中毒になるので繋がっているはず。だったら道具を使って煙突から外に出ることも可能ではないのか?試してみようとすら思わなかったの?
  • 裏井が不木の首を首塚のドラム缶に入れた時間が不明。午前7時前に葉村とボスが主区画からマリアのトランシーバーで広間に戻る。そこで生き残りが合流した。裏井もいる。裏井は首を広間のホールクロックの中に隠している。これは剛力が確認している。その後すぐマリアが不木の私室に来てくれと言い、全員が移動した。そこで裏井が発言しているから付いて来ている。手分けして捜索することになり、裏井は葉村と一階を調べることになった。地下はマリアとアウルと阿波根が向かった。やがてマリアたちが戻り、首塚のドラム缶に不木の首があったと持って来た。ん?なにか変じゃない?裏井はいつ不木の首を首塚に持って行ったのか?葉村とボスがいる午前7時まで首塚に入れなかったし(扉の開閉音がします)、合流してから地下には捜索中のマリアたちがいた。“裏井は葉村と1度分かれて捜索した”がその時に首を運んだにしては遅いし、いつ葉村が戻ってくるかもわからない。こっそり地下に下りても地下組がどこにいるかわからないし3人もいれば見つかりやすい。見つかったら「何その首は?」「お前は一階じゃないのか?」と聞かれてしまう。あれれ?今村先生。またやっちゃいましたか?ここの致命的な矛盾のせいで、俺は裏井を犯人から外してしまった。地下に行った3人にしか首の移動はできないんですよ先生。――じゃあ“首を運んだのは裏井じゃなくて誰なのか?”謎が残りますなぁ。
  • 成島が無謀に1人で突っ込んでいく意味がわからない。「裏井、お前が巨人をおびき寄せている間に俺が鍵を取ってくる」みたいに、誰かを囮にする小賢しいことをしそうなのに?
  • 裏井が成島を止めに“出て行って戻ってくるまで5分”(P.270)。血だまりを作るために腕を切った裏井がその腕の出血がいくら早く回復するとはいえ、5分で完全に固まるとは思えない。しかも追いかけてもみ合ってナイフを拾って引き戸の部屋に入って腕を出して切って戻って来る……正味、2分ほどしか回復してない。血を流しながら不木の私室に戻った彼の様子を誰も言っていないがそれだけ大量に失血して気絶しないのはおかしいでしょ。成島を止めようとして負傷したとは書いてもいなかった。
  • 巨人が午前5時に副区画の隠し部屋に入って雑賀の首を斬らないと裏井の計画が狂う。“巨人が来るかどうかもわからないのに、包丁を拾った裏井が一瞬の判断で巨人の動きを予測して雑賀の首を持って行ってもらおうと自分を傷つけてまでトリックを労する”のは、さすがに作者の都合のいいように動かしすぎです。さらに、巨人が午前5時に入ってくる理由がはっきりしていないと読者も推理できません。屋敷が研究施設を模していてケイが夢の中で習慣にしたがうのなら、ケイが朝5時に起きて中庭の先の部屋に入る理由も考えてほしい。例えば①:日中に中庭に出ると紫外線で巨人が嫌がるのなら巨人は夜中に中庭に出なくなることで「昼夜逆転現象が起きている」とする(生活リズムが12時間ズレている)。我々にとって午前5時は巨人の午後5時となり、ケイは毎日部屋に戻る前に羽田先生に挨拶して戻るために午後5時に副区画に行く習慣があって、午前5時に副区画に入ることになった。その習慣はコウタも知っていてトリックに利用した。――例えば②:副区画は「反省室」なのでケイはジョウジが反省させられていないか気になって副区画に入った。コウタもその思考を読んで利用した――とか、それらしい理由なら俺でも考えつきますが。
  • 裏井が雑賀殺しを犯した動機が「ケイを1人にさせない、自分も人を殺して罪を背負う」というわけわからんもの。裏井はケイを捜しに来ているので巨人を見た段階で研究施設の事件からすでにそれがケイだとわかっていました。それなのに“不木の死体の首を斬って巨人(ケイ)が襲ったように見せてケイに罪を着せた”のは矛盾していませんか?
  • 裏井がわざわざ剛力の殺人の後始末をしたり、剛力から疑いをそらしてあげる必要がまったくない。不法侵入までして不木を殺した剛力の罪は消えないし、自分が偽装工作することにまっっったくメリットがない。剛力との過去になにかあったなら納得できるが何もなし。(2人がケイとジョウジなら庇い合う理由になったかも)。皆さんが裏井の立場だったらそれ本当にやります?やらないよね。
  • 比留子が葉村の話を聞いて安楽椅子探偵をするのだが、推理のための情報が作者の独りよがりの前提で成り立っているうえに、それはもうわかっていました風に読者置いてきぼりで真相を言ってしまうのがきっつい。
  • 葉村の記憶力が異常。首塚で剛力が22歳と聞いて免許証を見せてもらい、その際に3月生まれのもうすぐ23歳と知ったが、それを正確に記憶していたことが偉すぎる。『魔眼の匣』でも些細な言い方の違いから真相を見破ったが、それも葉村の記憶違いだったら辿り着けなかった。葉村にそれだけ記憶力があるなら先に真相に辿り着いても良さそうなのに……。
  • 再度言うがホームズとワトソンのやりとり正直どうでもいいです。2人があまりにも違いすぎているので違和感しかない。明智ならわかるが比留子は全然ホームズじゃないでしょ。どちらかと言えば、オーガスタス・ヴァン・ドゥーゼン教授とハッチンソン・ハッチの方が近いです。比留子に「あげない。彼は私のハッチンソン・ハッチだ」と言ってほしい。
  • 剛力智が前歯が欠けているというわかりやすい特徴があったという後出し推理には、いやいや歯ぐらい入れるでしょという素朴な疑問。智が保険が利かないとかいう事情はなかったはず。いくら貧乏でも“テーマパークの従業員で接客をするのに”身なりに気を遣わないのは変ではないですか?それでいて銀行の残高が残っていてまだ携帯が解約されてないとか……“失踪は1年前”ですよ?(P.313) 月に5000円としてみましょう(今それ以下のプランは難しい)。12×5000円で6万円です。用済みの奴に給料は振り込まないし、電話代以外に家賃や光熱費も智が払っているはずだから実際は毎月5万円は払っている。そんなに残高があったなら歯ぐらい入れてほしい。
  • 最後の鍵の移動トリックは秀逸。しかし、それを実行する比留子と葉村が役割を理解していないと失敗していた。比留子は天才探偵の役割なのでいいけど、裏井が葉村に広間に行けと伝えずに「剣崎さんを責めないでください」と残して行ったので、俺はてっきり「剣崎さんが気づいて近くまで来ていたら助けやすい。動いてなければ奥まで行かないといけないがその時は剣崎さんを責めないでほしい」という意味かと思った。だから比留子を助けに別館に行くかと思ったら冷静に広間に引き返して「え?」ってなった。流れ的に葉村は突っ込んで行きそうだったのに……“なんでこれで伝わるのか”。ここの心理的な動きが読めなかった。
  • 最後に登場した「重元」が誰なのか思い出せない人もいそう。屍人荘で登場したオカルトマニアのデブです。班目機関の浜坂の手帳を拾ったために公安に連れて行かれて消息がわからなかったが、どうやら就職した様子。そんなことあるの?ここで『屍人荘の殺人』で明智を消息不明にしていて登場させたら拍手喝采だったろうなぁ。
  • 前作の『魔眼の匣』で葉村が

    この数ヶ月後、十色勤のノートで触れられていた事件のその後に関わることになろうとは、この時の俺たちにはまったく予想できなかった。

    とか書いたために“兇人邸から生きて戻ったこと”がもう先にわかってしまっていたのも残念。

  • 巨人がどうなったか、他の生存者はどうなったのか、救助隊が格子を上げて襲われる危険も高い。“結末をしっかり描かないのは手抜きでしかない”。終わり方がモヤモヤする。
  • もっと言えば、研究施設の大量殺人の巨人がケイなら「暴走するケイを生かしたままどうやって不木がドリームシティに連れてきて匿ったのか」がまるで説明されていない。ドリームシティに移ったのは14年前で、26年間もどうやってどこで匿っていたとか謎ありすぎなんですが。別の案として①ケイを背後から襲った不木がケイを連れて研究所を逃げる。②暴走したジョウジ(先の被験者)が大量殺人。ジョウジは殺される。③ドリームシティで不木がケイに薬を打って実験する。④ケイが巨人化。これなら筋が通るんですが……。やっぱり40年前の事件にすると期間が長すぎて無事では済まないと思う。
  • 読者を騙す、意外な結末に主眼を置きすぎて、設定に無理を詰め込みすぎています。剛力をケイだと思わせたいために、剛力(ゴウリキ)という力強い名前や京(ミヤコ)がケイと読めたり、本名が「前田圭子」でケイだったり、戸籍を乗っ取って免許証の偽装を仕込み、ケイを蟹座にして剛力がカニのストラップを持っていたり、捜している「彼」を巨人だと思わせたり、ナルコレプシーで眠ってケイの追憶を入れて……と偶然の一致が多すぎる。それに加えてマリアとボスもケイやジョウジのように思わせようと不自然な行動をやらせている。マリアが5歳まで東京で暮らしケイは6歳で施設に来たこと、マリアが真っ暗な通路を気にせず戻っていったり、マリアが急に戦意をなくして部屋に引きこもってアリバイが無くなるとか、ボスが巨人に突き飛ばされて無傷とか、わざと成島を止めなかったり……やりすぎです。あえて言わせてもらいますが、“そんなミスリードしてまでどんでん返しは必要ありません”。そういう驚きが無いと今の時代「期待外れ」だと思われるのでしょうが、だいたいの叙述トリック作品は一瞬の驚きで、よく考えたらおかしいなと思うことがほとんど。多くの読者はそれで満足するからいいでしょうが、俺らは“こちら側”なので逆に納得できなくなってしまうんです。これにめげずに次はもっと“完成度の高い作品”をお願いします!

 

Amazonレビューに

“こちら側”の方の鋭い指摘があった。

今作はモンスターパニック×推理小説と言った内容
しかし相変わらず不可解な点や作中の矛盾点が多く普通に読んでいるだけで嫌でも目についてしまう
推理については殆どあって無いようなもの。
おまけに本格推理はずなのに推理が矛盾しているというありさま。
犯人が剣崎の推理した行為を行えたのはいくつかの偶然の出来事が起きたからで、本来の想定では誰一人として起きると考えていなかった。
その起きないであろう偶然を、さも起こるかのような前提で犯人が行動を起こすのは矛盾しており、推理もできるわけないだろう。
 

まず物語の導入としてある兇人邸にある「あるもの」の違法入手の補助を探偵の剣崎が依頼され、主人公である葉村がそれを受け同行する。と言った流れなのだが、主人公の葉村はある事情により窃盗を非常に嫌悪しているのである。しかも過去作の屍人荘の殺人ではこれが重要な伏線になっている。
(例をあげると、どうしても自分が窃盗を行わざるを得なくなり、その窃盗が犯人にバレたときに代償として犯人の殺人を黙殺する程である。)
もちろん剣崎もこの事を知っている。
この館にある「あるもの」の違法入手は葉村の嫌っている窃盗行為に外ならず、葉村は拒否するのが妥当であるし、剣崎も持ち掛けないのが普通であり、この時点で矛盾してしまっている。
自身の作成した主要キャラの設定ですらこの作者は忘れてしまったのだろうか?

 

またその「あるもの」とはとある人物であり、言い換えるなら、兇人邸に監禁されている人物の誘拐なのであるのだが、
その際用意したのが拳銃のみで麻酔薬や睡眠薬やスタンガン等の非殺傷の捕獲器具を
だれも用意してきてない。(過去の作品で普通の看護学生が強力な睡眠薬を入手できる世界でである。)
その上ロープやワイヤー等の拘束器具もその他違法行為に必要であろう工具も用意していない。
この時点でもう色々とおかしい
最初からお前ら捕獲するんじゃなくて殺す気だったとだろとしか思えない(の癖に殺すな。捕まえろ。とか発言をする。)

 

また物語のキーパーソンの「生き残り」の行動が非常に不可解。
庇わなくていい人間をかばって信頼関係滅茶苦茶するし(しかも本人のメリットは一切なし)、それに至った行為の理由も滅茶苦茶。
元々の目的も不明。
本当に生き残りが何のために来てなにをしてそこまでしてなにをしたかったのがわからない

 

この作者は前からその辺の作中の矛盾があったがそれらは一切改善されていない。
普通の作者なら三作目辺りから色々と改善されてきているが、この作者にはこの辺りの改善が見られない。
この辺りが一切気にならないなら楽しめるかもしれない… まあ無理だろうが。

やあ素晴らしい考察です。

“こちら側”にようこそ。

 

確かに最初の成島の説明は

不法侵入して研究資料を盗み出すことで

人を探しているとは言っていませんでした。

その言葉に俺と比留子さんは驚き、裏井は言ってしまったかとばかりに嘆息した。

成島が探しに来たのは人間なのか!(P.56)

ここにある通り

比留子も知らなかったことが確定。

あれほど嫌悪していた窃盗行為を

葉村が断りもしないし、

葉村が窃盗を嫌うことを知っていながら

比留子も止めなかったということだ。

確かに設定と矛盾していますなぁ。

 

「起きないであろう偶然」とは

午前5時の巨人の副区画への侵入のことかな。

犯人が腕を切ったのは

巨人が首を持って行くことプラス

血の乾いた時間を気にする奴がいて

それ前提で首を切った時間をズラすトリックだし

たまたま雑賀の死体が窓の近くにあったり

まだ日没まで時間があるのに

雑賀の死体を葉村が調べようとしなかったり

最後の鍵の回収トリックとか

全部作者の都合のいいように

パズルのピースをはめこんだ印象。

 

遠くからしか見ない人は

出来映えの完成度に感心はするけど

近寄って細部までじっくり見たら

納得する読者はいないでしょう。

 

 

好事家のためのトリックノートトリック分類表

準備中です。

 

 

 

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