たまたまAmazonで
面白そうな映画を見つけたが
中古でレアなので
5000円以上する。
Amazonビデオなら400円で
ネットレンタルできるので
初めてこういうサービスを
利用して視聴してみた。
特典映像を見れなくていいなら
ネットレンタルの方が楽ですね。
『テキサスの五人の仲間』
(1965年)アメリカ作品
![]() | テキサスの五人の仲間 【DVD】 1,500円 Amazon |
50年前の古い作品で
ヘンリー・フォンダが主演。
さらっと内容を言うと
ギャンブル好きの亭主が
妻のいない間にポーカー勝負をして
手持ちの金を全部賭けてしまい
すっからかんの状態で倒れてしまう。
ゲームの続きを妻に託すのですが
もう賭ける金が無いし、
この妻はポーカーのルールも知らない。
ところがある機転を利かせて……
おっと、これ以上は
実際に映画を見て頂きたい。
俺は自分の父親が
パチンコで借金して
家庭を崩壊させたので
この映画の亭主と重ねて
なんてバカな奴だと
呆れながら見ていた。
なので最後は「えっ!?」と
思わず飛び起きてしまった。
とくに邦題が秀逸です。
<あらすじ>
テキサスの金持ち連中五人が集まって、年に一度のポーカーの大勝負が行われる。そこへ、旅の途中で立ち寄った家族三人がやってきて、無類のポーカー好きの夫メレディス(ヘンリー・フォンダ)は勝負に加えて欲しいと頼み込む。しかし、メレディスは瞬く間に家族の全財産4千ドルをスッてしまい、妻のマリー(ジョアン・ウッドワード)が代わって挑むことになるが……。ポーカー勝負を軸に展開するコメディ・ウェスタン。
<スタッフ>
製作・監督 フィルダー・クック
脚本 シドニー・キャロル
音楽 デヴィッド・ラクシン
撮影 リー・ガームス
<キャスト>
ヘンリー・フォンダ(メレディス)
ジョアン・ウッドワード(マリー)
ジェイソン・ロバーズ(ヘンリー・ドラモンド)
バージェス・メレディス(ドク・スカリー)
チャールズ・ビックフォード(ベンソン・トロッペ)
ケヴィン・マッカーシー(オットー・ハバーショー)
ジョン・クォーレン(ジョス・ビューフォード)
ロバート・ミドルトン(デニス・ウィルコックス)
ポール・フォード(C・P・バリンジャー)
ジェラルド・ミチェノード(ジャッキー)
★★★★☆ 犯人の意外性
★★★☆☆ 犯行トリック
★★★★☆ 物語の面白さ
★★☆☆☆ 伏線の巧妙さ
★★★★☆ どんでん返し
笑える度 △
ホラー度 -
エッチ度 -
泣ける度 -
総合評価(10点満点)
8点
--------------------------
※ここからネタバレあります。
-----------------------------
●ネタバレ結末
結末
妻マリーは銀行の支配人
バリンジャーから
「手札の役」を担保に金を借りる。
バリンジャーがマリーの手札に
金を出す価値があるということは、
絶対に勝てない役だと判断した5人は
勝負を降りたので
マリーは逆転勝利し、
2万1500ドルを儲けた。
実はこの手札の役は
たいしたものではなく、
最初からバリンジャーと
マリーはグルで、
ギャンブル好きの夫メレディスも
マリーの仲間。
全ては金持ち5人から
金を巻き上げるために
仕掛けた詐欺だった。
●どんでん返し
この作品のどんでん返しは
妻のマリーが黒幕で
銀行主とグルだったこと。
実は邦題の
「テキサスの五人の仲間」とは
この金持ち五人のことではなく、
マリー(妻)、メレディス(夫)、
ジャッキー(子供)、ドク(医者)、
バリンジャー(銀行主)の
五人のことを表していたのだ。
マリーの本名はルビィという。
金持ち5人に恨みを持つ
銀行主バリンジャーに
協力して復讐計画を立てた。
その計画とは……
①メレディスが
ポーカーに加わり大負けする。
金を釣り上げるだけ釣り上げて
勝負を降りないで自分のターン。
②メレディスが心臓発作で倒れる。
それを仲間の医者ドクが診察。
本当に危険な状態だと
周りに信じ込ませる。
③緊急事態なので
メレディスの代わりに
妻マリーが勝負を引き継ぐ。
その時「手札」は絶対に見せない。
④金を借りるため
銀行へ行く。
そこで「手札」を
銀行主バリンジャーに見せる。
バリンジャーは最初は怒るが、
後で勝負部屋にやってきて
この手札には
金を融資する価値があると
はったりをかます。
(実際は何の役でも構わない)
そして賭け金を1000ドルに釣り上げる。
※ポーカーで一番強い役(ハンド)は
「ファイブカード」だが
この映画では
トランプの封を切って最初に
ジョーカー2枚を捨てている。
そのためこの勝負で一番強い役は
「ロイヤルストレートフラッシュ」になる。
⑤さすがに金持ち五人は
勝てないと尻込みし
勝負を降りたので
マリーが勝利する。
……という作戦です。
上手いですね。
馬鹿そうな夫メレディスの芝居や
心配する妻と子供が
妙にリアリティありすぎて
完全に騙された。
このヘンリー・フォンダの
追いつめられて今にも泣きそうな
ひきつった笑顔が上手すぎ。
銀行主とはグルっぽい気がしていたが
まさか医者も仲間とは。
最後に手札を見せないのも
想像力がかきたてられる。
あれはブタ(ハイカード)だったのか
本当にロイヤルだったのか。
※水色はミスリード、紫は伏線です。
5人は詐欺計画で動いているので
マリーは頃合いを見計らって
宿に戻らなければならないが
①鍛冶屋で時間つぶしをする様子を
視聴者に見せるのは完全なミスリード。
これだけで
夫に何か作戦があろうと
妻は無関係だと錯覚させられる。
修理が長引いてしまうと
逆にメレディスが
時間を稼ぎをすることに
なったかもしれないことを思うと
なかなか危ない作戦だったのでは。
バリンジャーにカードを見せて
「途中で降りるわけにはいきません」
「いい役のはずですわ」
「主人がそう言ったんです」と凄む場面。
その役を見て
②「知らんのか?」と動揺するバリンジャー。
どちらの意味で動揺したのか
観客にはわからない。
この時点で視聴者の多くは
もしかしてブタじゃないかと予想する。
③妻はルールを知らないから
夫の言葉を信じて
ブタでも自信を持っているように見える。
妻の健気な姿と勇気に心打たれたのは
俺だけじゃないはず。
まさかそれがミスリードだとは……。
ただの駄目亭主に見えたメレディスは
カードを巧みに操ることができる。
(マジシャンかどうかは不明)
それなのにみんなの前では
④わざと拙いカードさばきを披露して
油断させている。
実はメレディスは
カードを配る時に細工をしていた。
他の5人にすぐ降りてもらっては困るので
ツーペア以上の役を与えておき、
賭け金を釣り上げるように仕向けた。
2枚交換した2人はスリーカード、
3枚交換した1人はツーペア、
1枚交換した2人はフラッシュと
ストレートだったのではないかと思う。
※後にドラモンドはストレート、
ウィルコックスはフラッシュと判明している。
最初の勝負を見学した時、
ドラモンドはオットーに
スリーカードを出して
フルハウスで負けている。
この時、
①メレディスが
「その役(スリーカード)で
勝負するのか?」と聞いている。
→その程度で勝負に出るなら
僕にも勝機はあると
自信満々で出てくるメレディスの
本当の目的は
スリーカードを与えておけば
こいつらは降りないと
確信したからだ。
彼らが即席の家族だという伏線は
残念ながら見つからなかった。
妻は指輪をしているが
②メレディスは結婚指輪を
していないという程度。
指輪をしない人は多いからなぁ。
もう少し見破れる伏線が
欲しかったですね。
子供がうっかり本名で
呼んでしまうとか。
●よくある疑問
Q,結局、手札の役は何だったの?
実はバリンジャーとのやり取りで
一瞬だけ手札が見えるシーンがある。
うわ~、
揃ってないし。
クローバーの3(?)
クローバーの4(?)
ダイヤの5
ハートの6
ハートのクイーンが見える。
メレディスは最初から
1枚も交換しなかったが
ストレートすらできていなかった。
手札を最後まで明かさない演出は
俺には好印象。
一人がめくろうとしたのを
止めさせるのが紳士的だった。
Q,メレディスが
部外者以外は入れない勝負に
入れたのは偶然か?
メレディスが中に入れたのは
オットー・ハバーショーという
イケメン弁護士が
妻マリーに惹かれたからで、
これはラッキーな偶然だったが、
本来予定していた作戦も
あったのだろうと思う。
例えばこれ見よがしに
大金を見せて
参加させてもらうとか、
カモれそうな雰囲気を出して
こいつを入れて
むしり取ってやろうと思わせるとか。
雰囲気的に
後者の計画だったのではないかと。
Q,バリンジャーは
なぜ銀行で引き受けず
一度追い返してから
金を出すことにしたのか?
一度冷静になって
考えてからの方が
信じさせやすいという狙いもあるが、
たいした役じゃないと思わせて
油断して笑っている5人の姿が
見たかったのかもしれない。
あくまでも「復讐してやりたい」のが
バリンジャーの目的ですから。
Q,この詐欺の動機は何?
バリンジャーは16年前に
土地の取引であの5人に
金を騙し取られていたらしい。
その恨みを晴らす機会を待っていた。
面白い事に
金持ち5人は自分たちが
騙されたことに気付いていない。
それどころかオットーたちは
あの奥さんは強い意志を持った
立派な女性だと称賛している。
ドラモンドは娘婿を
娘より立派な女と結婚しろと追い出した。
おそらくマリーの姿に感化されたのだろう。
真実を知らないということは
幸せなことかもしれない。
Q,彼ら5人の関係は?
メレディスとジャッキーは
本当の親子だと思われる。
メレディスの本名はベニー。
ドクは独り者で
酒場の歌姫に気があるようだ。
バリンジャーとマリー(ルビィ)は
「あんたがあの町の銀行で
ふんぞり返っている間
ここ(酒場のカジノ)で待ってるのよ」
という夫を待つ妻のような
親密なやりとりからして夫婦だろうか。
ギャンブル好きなのは
メレディスではなくマリーの方だった。
しかしバリンジャーの妻なら
町の人が知らないのはおかしいし、
別の町の愛人(?)みたいな
関係なのかもしれない。
●邦題のセンスが素晴らしい
この映画のメインのオチは
なんとなくわかる人もいるだろう。
「結局グルだったパターン」は
他にもたくさん作品がある。
個人的に最も
この作品が素晴らしいのは
邦題じゃないだろうか。
原題は
「A Big Hand for the Little Lady」で、
「小さな貴婦人の大きな手」という意味。
このハンドは手であり
役の「手」でもある。
金が無いのに何を賭けるのか?
そこでとったマリーの手が
「手札の役」を担保にして
金を融資してもらうというのが面白いし、
ポーカー勝負を
「あなた方には単なるお遊びでも
わたしには人生を賭けた勝負」と
啖呵を切るシーンのかっこよさに
ぴったりはまっているタイトルだ。
そして邦題は
「テキサスの五人の仲間」
いやー最初に思った5人と
最後に出てくる5人が
これほど違うとは恐れ入りました。
てっきりポーカーの5人が協力して
妻を勝たせるみたいな物語を
想像してしまったじゃないか。
これだけで俺は
0.5点アップした評価をしています。