江戸川乱歩の
「類別トリック集成」を読んだ誰もが
自分でもトリックを分類してみたいと思ったはず。
俺もそうでミステリーを読んだら
そのトリックをできるだけ
ノートにメモしてきました。
これは類別トリック集成を参考にしながら
別のパターンも加えて
自分なりにトリックを分類したものです。
こういうのはミステリ好きは
みんなやっているから
あえて出さなかったんですが
せっかくブログをやっているので
自分用の覚え書きとして
ここに残しておきます。
メモしていくうちに細分化したり
別の項目にまとめたり
暗号に関しては
『暗号ミステリ傑作選』の
詳細な分類を参考にしています。
※ミステリ系のレビューの最後にある
「好事家のためのトリックノート」の
1-Aや8-Aの表記は
この分類表に対応しています。
1-人間(犯人)に関するトリック
A、一人二役トリック(不在証明を含む)
●犯人が被害者に化ける
・犯行前に化けるもの
・犯行後に化けるもの(一時的)
・犯行後に化けるもの(永久的)被害者=犯人
●共犯者が被害者に化ける
●犯人が被害者の一人を装う
●犯人と被害者が全く同じ人物
・自分で自分の物を盗む
・自分で自分を死なないように傷つける(自殺ではない)
・自分で一人二役して架空の方を殺して自分が犯人に見せる
・その他
●犯人が嫌疑をかけたい第三者に化ける
●犯人が架空の人物に化ける
・二重生活をして本人で犯行し架空で残る
・二重生活をして架空で犯行し本人で残る
●被害者の一人二役を利用する
●死体、その他を一人二役、二人一役させる(手、声、足音など)
●替玉(二人一役、双生児)
●一人三役、三人一役、二人四役など
●脇役が一人二役
●一人二役の補強テクニック
●その他
B、意外な犯人トリック
●探偵が犯人
●警官、裁判官など悪を裁く人間が犯人
●探偵の協力者(ワトスン役)が犯人
●事件の記述者が犯人(9-B、叙述トリックへ)
●幼年、または老人が犯人
●病人、負傷者が犯人
●死体、死者が犯人
●人形、機械が犯人
●意外な多人数の犯人
●動物が犯人(黒幕に人間がいない場合)
●自然現象が犯人
●特異体質、超能力を持つ犯人
●被害者が犯人①(犯人が間違って死ぬもの)
●被害者が犯人②(裏に真犯人がいるもの)
●被害者が犯人③(自作自演)
●依頼人が犯人、または犯人の一人
●小説の読者が犯人
●その他(一度も登場しない人物、そもそも犯人がいない、など)
C、犯人の自己抹殺トリック
●焼死を装う
●その他の偽死
●変貌
●消失
D、被害者トリック
●スキを突かれた殺され方
●異常な被害者
E、意外な有名人トリック
●依頼人、脇役
●探偵役、主役
●犯人
2-痕跡についてのトリック
A、密室トリック
●犯行時、犯人が室内にいなかったもの
・室内の自動殺人装置
・窓または隙間を通しての室外からの殺人
・密室内にて被害者自ら死に至らしめる
・錯覚を利用した心理的密室(犯人は室外)
・その他
●犯行時、犯人が室内にいたもの
・出入口を外から内部施錠する
・外からかけた鍵を室内に戻す
・実際より前に犯行があったと思わせる(早業殺人など)
・実際より後に犯行があったとみせかける
・発見時まで中にいる
・錯覚を利用した心理的密室(犯人も室内)
・出入口が密閉されていたと錯覚させる
・その他
●犯行時、被害者が室内にいなかったもの
・致命傷の被害者が密室に移動する
・犯人が被害者を密室に入れる
・その他
●密室への侵入方法
●密室にする理由
B、足跡トリック
●他人の足跡を偽造する(被害者、仮想犯人、嫌疑をかけたい第三者)
●足跡を一切つけない(空中移動、遠隔殺人)
●動物、歩行道具の足跡に偽造する
●足跡を消し去る
●捜査の混乱を狙う
●その他
C、指紋トリック
●指紋を偽造する
●その他
3-不在証明のトリック
A、移動手段、距離によるアリバイトリック
●地面を移動して短縮
●空中を移動して短縮
●水上、水中を移動して短縮
B、時間によるアリバイトリック
●時刻の誤認
・犯行の後に操作
・犯行の前に操作
C、音によるアリバイトリック
●電話、携帯電話
●ラジオ、テレビ
●腹話術
●レコード、CD、テープ
●偽砲音
●声帯模写
●物音
●その他
D、天候、季節その他の自然現象利用トリック
●天候
●季節
●野外の自動殺人装置
E、視覚によるアリバイトリック
●影
●写真、絵
●手紙、FAX
●映像、VTR
●殺害風景を目撃させる(犯人自身がその殺人を遠方から目撃するもの)
●仮想犯人を目撃させる
●その他
F、味覚、触覚、嗅覚によるアリバイトリック
G、自ら負傷、病気になることを利用したアリバイトリック
H、第三者によってアリバイが成立するパターン
4-凶器、毒物に関するトリック
A、変わった凶器トリック
●刺殺
●射殺
●感電死、ショック死
●墜落死
●圧殺、衝突死
●撲殺、殴殺
●動物を使った犯罪(黒幕に人間がいる場合)
●絞殺、窒息死
●焼死
●爆殺
●斬殺
●溺死
●その他の奇抜な凶器
●犯行後に消える凶器、消す方法
●凶器の隠し場所、隠し方
B、毒殺トリック
●嚥下毒(飲み込む毒)
・飲ませる仕掛け
・毒以外を飲ませる殺人
●注射毒
・毒を仕掛ける
・毒以外の注射による殺人
●吸入毒
・毒を吸わせる
・毒以外を吸わせる殺人
5-人および物の隠し方トリック
A、死体の隠し方トリック
●一時的に隠す(時間かせぎ)
●永久に隠す
・土中に埋める
・水中に隠す
・空中に葬る
・焼却する
・薬品などで溶かす
・塗り込む
・死体を別のものに変える
・動物の餌にする
・人間が食べる
●死体移動による欺瞞
・犯人が地力で移動させる(機械を操縦したものも含める)
・犯人以外が移動させる(第三者、被害者、動物、機械、自然)
●顔のない死体
・顔をつぶす、焼く
・首を切り、胴体を隠す、すげ替える
・首を切断して隠す、すげ替える
●特徴をつける、または消すため一部を隠す
●バラバラにする理由
B、生きた人間の隠れ方トリック
●物理的に見えない隠れ方
●心理的に見えない隠れ方
C、物の隠し方トリック(通信、渡し方も)
●宝石
●金貨、金塊
●紙幣
●書類
●その他
D、死体および物の替玉
●偽の死体(人間以外のもので死体にみせる)
●偽造物
●その他
6-自殺と動機のトリック
A、他殺を装う自殺
●他殺を装う自殺
●死亡事故を装う自殺
●自殺に追い込む
B、動機トリック
●意外な動機、異常な動機
C、ミッシングリンク
7-言語に関するトリック
A、未知の言葉トリック
●普通語
●特殊語①専門用語、専門記号
●特殊語②その他
●通信語①モールス信号
●通信語②略語、速記
●通信語③点字
●通信語④その他(手話など)
B、暗号トリック①換字式[代用法]
●単一形式(サイファー)[単純代用法]
・座標方式(単純型)
・座標方式(鍵配列型)
・一般方式①単純型
・一般方式②スライド型
・一般方式③鍵配列型
・一般方式④不規則配列型
・一般方式⑤その他
・度数秘匿方式
・略号方式(コード)①普通型
・略号方式(コード)②図書利用型
・略号方式(コード)③その他
●複雑形式[複雑代入法]
・多表方式[平方式]①ヴィジュネル方式
・多表方式[平方式]②グロンスフェルト方式
・多表方式[平方式]③その他
B、暗号トリック②転置式[置換法]
●書き順方式[普通置換法]
●単一形式[混合置換法]
・分散方式①単純型
・分散方式②鍵利用型
・分散方式③図形利用型
・図形転置方法(スキュタレー)
・鍵式図形転置方式
●複雑形式
・回転グリル方式[回転窓板法]
・その他
B、暗号トリック③分置式[挿入法]
●一般方式(規則型)
●鍵方式
●消去方式
●グリル方式[窓板法]
B、暗号トリック④陰文式[寓意法]
B、暗号トリック⑤約束語[隠語]
C、ことば遊びトリック
●図形、絵、物[表形法]
●音
●文字(音、訓、字形、分解、結合)
●綴り(語形、綴り替え)アナグラム
●クロノグラム
●その他
D、秘密インキ
●秘密インキ
●細字
●その他
E、回文
8-発覚に関するトリック
A、物理的手掛かりの機智
●犯人のミス
●探偵、被害者、第三者が仕掛けた発覚
●偶然、超自然的なものによる発覚
B、心理的手掛かりの機智
C、犯人自白、告発トリック
●犯人逮捕直前の自白強要トリック(探偵によるもの)
9-その他
A、特殊トリック
●鏡トリック
●錯視(色盲、近眼)
●距離の誤認
●電話トリック(アリバイ以外)
●早業殺人(密室以外)
●群衆の中の殺人
●二つの部屋トリック
●プロバビリティーの犯罪
●職業利用の犯罪
●正当防衛トリック
●一事不再理のトリック
●死者からの手紙
●童謡、見立て殺人
●筋書、教科書殺人
●迷路
●催眠術
●夢遊病
●記憶喪失症
●交換殺人
●発見者、目撃者に錯覚させる
●発見者、目撃者が錯覚する
●不可解な弾痕、傷跡
●脱獄、脱出トリック
●腐敗速度トリック
●身代金受け取りトリック
●放火トリック
●秘密の抜け道を利用したトリック
●暗闇の中の殺人トリック
●レッドヘリングトリック
●第三者に嫌疑を向けさせる方法(一人二役をのぞく)
●サバイバルトリック(危機的状況の回避)
●条件付き被害者利用の犯罪
●スパイトリック
●イカサマトリック(テストのカンニングなども)
●イタズラトリック
●おびき出しトリック(赤髪トリック)
●立入禁止トリック
●奇妙な味のトリック(リドルストーリー含む)
●連鎖犯罪、反応
●強奪トリック
●恐怖トリック
●通過トリック
●偶然の犯罪トリック
●換金トリック
●遺書トリック
●病人、不具者の使う殺害トリック
●二重殺人
●時間かせぎトリック
●脱力系トリック(夢オチなど)
B、叙述トリック
●記述者即犯人
●作中作(最初から作中作と思わせないもの)
●時間交錯(時系列の誤認)
●性別誤認、人物誤認、年齢錯覚
●最後の一行の驚き(フィニッシングストローク)
●記述者交代
★ミステリ好きのための簡単な法医学知識
●死体学
・死斑は下になった部分に集中して出る(重力にひかれて血管内の血液が移動する)
・死後経過時間の計算は三点法(死体温を同じ環境で時間をかえて3回測定する方法)によらなければいけない。
・恒温動物の人間が死亡すると、体温を保持している組織の新陳代謝が停止するので、熱の輻射・伝導ならびに対流および水分の蒸発にともなう気化熱の発散によって熱放射がおこり、体温は徐々に低下する。
(死後1~2時間は直腸内温度に変化がない)
●死斑
死後20~30分後には点状の斑点が出現し、2時間後に次第に斑点が融合しはじめ、6~12時間後には全面に広がる。死後20時間もすると血球成分の濃縮化がおこり、少しぐらい圧迫しても色が消えず、死斑は固定化し指で力一杯押さえても褪色することはない。なお、失血死の場合、死斑が発生するための血液が欠けているので発生しにくく、徐々に死の経過をたどった場合、血管内で血液が凝固してやはり発生しにくくなる。
●死後硬直
死後硬直とは酸素の供給が杜絶し細胞内でATP(アデノシン三リン酸)を産生できず、しかも細胞自身は死んでもある程度の新陳代謝をしているのでATPを消費せざるを得なくなり、一定濃度以上のATPが筋肉細胞から減少して二種類の収縮蛋白(アクチンとミオシン)が結合しアクトミオシンに変化する。この結果、筋肉が収縮し弾力性が減少することをいう。
・死後2時間くらいで下顎部に発生。ついで全身の筋肉に波及し、6~8時間もすると手足の筋肉にはっきり認められるようになる。
・死後8時間くらいまでは死体の筋肉に力を加えて伸ばすと柔らかくなり再び硬直をおこすが、それ以上だと外部から力を加えると筋肉は破壊され変形したままとなる。
・死後30~40時間で徐々に硬直が解けはじめ、死後90時間で完全に解ける。これを解硬という。夏場は2日、冬場は4日ほど。